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おとのホームシック
食事中に少し気になることがあった千歌は消灯後の巡回最後におとの部屋に寄った。
しかし…うたのことなんて覚えていなかったのに佐久間先生ときたらさりげなーくうたのことを覚えてる風に返事するから驚いた。
いろいろプライドとかあるんだろうから、突っ込まなかったけど今度何か奢ってもらおう。
おとの部屋のドアに手を置き開けると、おとは慌てて布団の中に潜った
「おと?どうしたの?」
「なんでもないっ」
「でも声がうわずってるよ?泣いてる?」
「ち…違うっ。泣いてなんかないもん」
「そう?じゃあ顔を見せてよ」
「う〜……」
おとはそろそろと布団から目を出し顔を出した
「あ!やっぱり目がうさぎさんじゃん」
「だって…」
「おうちが恋しくなっちゃった?」
「うん。早く帰りたい」
「そっかぁそうだよね。分かる」
「えっちなんてできなくてもいい。だから帰りたい」
「一時帰宅できるか相馬先生に聞いてあげようか?」
「ちかちゃんが怒られちゃうよ」
「んー…オレは話を聞くくらいしかできないけど、いつでも聞くからまた話そ?今日は消灯だからもう寝れるかな?」
「うん寝る。ちかちゃんおやすみのチューとハグしてくれる?うっちゃんはいつもしてくれるんだ」
「いいよ。分かった」
千歌はおとをぎゅっと抱きしめて、額にキスを落とした
おとははにかむように笑い目を瞑った
やはり…おとの体がやや熱い
熱が出なければいいけど…
千歌は不安を感じつつもおとの頭を優しく撫でた
「おやすみ、おと」
電気を消し、千歌は退室した。
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