33 / 1212

急患・れい

「千歌…千歌!すまん、起きれるか?」 佐渡に揺り起こされ、千歌は間の抜けた返事をし 「ふぁい?何時?」 「4時だ」 「へ?ごめんなさいっ。巡回2回もとばしてる」 「問題ない。気持ちよく寝れたようでなによりだ」 「あ!こころのプラグは?」 「抜き済み。それより急患だ」 「急患!?こんな時間に?」 千歌は衣服を整え起き上がった。 「現在、前立腺肥大で外来通院中の子なんだが…続きは救急外来行きながら話すぞ」 「はいっ」 2人は小走りで少年棟を抜け、救急外来へと向かった 「れいと言う子で異物混入をして抜けなくなったらしい」 「は?」 「だからっ異物混入だ。前後どっちに突っ込んだかは分からんが」 「えー…なんでそんなことに」 ・ ・ 「あーーっっ痛いーっ」 ストレッチャーに乗せられ病衣に着替えさせられた茶髪の少年が、苦しんでいた 「ね、ちょ…君っ落ち着いて」 「すみません、お待たせしました。少年治療棟の佐渡です」 「あ!待ってましたよ、どうやら友人とふざけていておしりに挿れてしまったらしく…」 「ちょ、何これ…佐渡先生。上の方が窪んだ細丸いなんかが映ってる」 救急医が指差すレントゲンの画像を見て、千歌がつぶやき、 佐渡は画像とれいを交互ににらみ、苦い顔をし 「これは…。後はこちらで引き継ぎます。れいっ、分かるか?」 「佐渡先生ーっ、助けて〜!」 「お前、何を突っ込んだ?」 「こけし」 「あっははっこけし!!よく挿れたな」 「笑いごとじゃないよ〜取って」 「分かった分かった。少年棟までちょっと我慢な」 「嘘!ここで取れないの〜」 「あ〜…ここじゃなぁ。少年棟行くぞ」 「え?入院?マジ?」 「思わぬ入院だろうが…この際だ。前立腺肥大の治療もしていけ」 「いーやーっ」 佐渡と千歌はストレッチャーを押し、少年棟へと引き返していった。 「みんな寝てるから静かにしてよ?君」 「おにーさん誰?」 「千歌。看護師だよ?ふざけてこけしを挿れるとかどういう状況?そのお友達は本当に友達なの?」 「そ…それはちょっと…なんとも言えない」 「いじめ?」 「分かんない…」 「もうっしっかりしてよ!」 「千歌?お説教は後にしてやれ」 「だってなんかムカつく」 千歌はぶつぶつ文句を垂らしながら歩いていった

ともだちにシェアしよう!