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おととかおる
眠りについたおとを抱き抱えて相馬は処置3を出た。
小さな子ではあるけどさすがに重く何度か抱き直しているとその光景を見たかおるが血相を変えて走ってきた。
「そいつどうした!」
「ん?かおるこそどうした?そんな血相変えて」
相馬はかおるを刺激しないようにのほほんとした口調で話し、かおるにわけを尋ねた
「いや、だって!今、処置3から出てきたろ?おとぐったりしてんじゃんっ。ヤバいだろ!それっ」
声を荒げるかおるとは反対に相馬は極めて落ち着いた話し方で
「あ〜。心配してくれたんだ?かおるは優しいね」
ほほえみを浮かべた。
「なんでそんな悠長なんだよっ。そんなになるまで泣かせたってことだろ!許せねぇ」
「違う違う。リラックスして寝てるだけだよ。ヒーリングミュージックとアロマが気に入ったみたい」
「え?そんだけの話?おとの顔、見せて?」
かおるはおとの顔をのぞきこみ
「本当だ。かわいい顔して寝てる」
「かおるはおとをかわいがってるんだね」
「悪い?」
「いや悪くないよ?トゲトゲしてるきみがおとには甘いから不思議だなぁとは思うけど」
「うちにも弟いるから。放っておけないんだよ。面倒みてやんないとだろ?」
「そっか。かおる、弟がいるんだ?」
「そ。おとと同い年で手のかかるやつだけどかわいいんだ。でも、この入院のせいで離れ離れ。心配で仕方ない」
「なるほど代償行動だね」
「は?」
「なんでもないよ。ひとりごと。かおる、おとを病室まで頼める?」
「え?い…いいけど」
かおるは照れながら両手を伸ばした
「重いから気をつけて」
「分かった」
かおるはおとをよろけながら受け取り、しっかりと抱きなおし病室へと歩いていった
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