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うた 注射
「さぁて…初回は寝てるうちに済ませましょうか」
紫藤はうたをベッドに横たえ準備室へと向かい、注射の用意をした。
そして衣服を脱がせて裸にすると上下に分かれた病衣のうち上だけ着せ替え、下は膝下まで履かせて尻を剥き出しにさせ横に向けた。
しかし、いざ刺す!というときになってうたは目を覚ましてしまった
「ひっっなんでズボン脱がされて」
うたはびっくりして起きようとしたが鎮静の抜けきれていない体はうまく動かなかった。
体に力が入らない…なんで?
うたはあたりを見回した。
横に向けられてるせいであまり見えないけど診察室の白い壁じゃない。
たしか診察室で暴れて意識なくなって…
薄い桃色の壁紙のここは?
「目覚めてしまいましたか?かわいそうに…眠ってるうちに終わらせるつもりだったんですが…」
「先生?何持って。体に力入んないし、ここどこ?」
顔を必死に後ろに持ってくると手に注射器を持った紫藤がいてうろたえた
「注射!?え?どこに打つ気?」
「暴れないっっ」
激しい声にうたはびくんっと体を跳ねさせ固まった。
「おしりに打ちます。でも、あなたが暴れれば間違えちゃうかもしれません」
「ええ?」
「冗談です。痛くはしません。じっとしてなさい。あなたはこの注射を定期的にするために入院が必要です。なのでここは病棟の処置室です。いま刺さってるのでそのまま耐えて」
宣言どおり刺されたのが分からないほど痛みがなかった
「嘘…先生、上手」
「足の先は痺れませんね?」
「うん…大丈夫」
「寝ていると神経への誤刺入の確認が取れないからまぁ…よかったっちゃよかったです、では薬液が入ります。まだ動けないとは思いますがなるべく動かないで」
「は…ぁ……あ゛…っぐっ」
入ってくる痛みにうたは思わず握りこぶしを作り、唸った
「おや?なかなか我慢強い?あと少し頑張れ」
「い゛っー…た…ぁあ!も…先生っなんかおかしいっ…っ痛すぎ」
想像を越える痛みにうたは目を見開き、体を震わせた
「そういうものなので大丈夫です」
「ま…まだぁ?」
「初回なのでゆっくりゆっくり入れてます。急変が怖いですから」
「もぅ…いい!早く入れて!!」
「エッチなセリフ…ですね」
「そういうんじゃないからっ」
「はい。おしまい」
紫藤は針を抜き、黄色い小さなボックスに捨てるとうたの尻に絆創膏を貼り。ベッドの端に座ると手を絆創膏の上に置きその尻肉を撫でながら携帯電話を手に取った
「…っぁ……ぅ」
「彼の処置が済みましたので迎えを。車椅子がいいでしょうね。泣くのこらえてますから後で泣かせてあげなさい。後は頼みました」
電話を切ると紫藤はトンと音を立て床に降り、
「私は行きますが後は看護師の涼木に任せてあります。彼は甘えさせ上手ですから甘えさせてもらいなさい。じゃ」
処置2から消えた。
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