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早朝採血
「明日朝早朝採血2人も指示あるし…紫藤先生め…。注射の帝王なんだから自分が当直のときに自分でやりゃいいのに…」
ぶつくさと現在の涼木は呟きながら夜勤入りの支度をしていた。
「先輩…口に出てますよ?」
「千歌、おつかれ」
「日勤入ってすぐデータ欲しいんでしょうね?どっちも朝のがいい項目だし」
「未羽は分かる。あいつ糖尿だから。でも、ゆきは解せん。夜勤看護師いじめだろ?あいつ、血管出ないし」
「んー…先輩なら任せれるってことじゃ?オレあんま得意じゃないからかオレのときはそんなオーダー出てませんもん」
「あーやだ」
「ゆきは知ってるの?」
「まさか。ぎゃーぎゃー言うの目に見えてるから寝てるうちに抜きにいく」
「それこそわめくんじゃ?」
「いや。手の甲に一発で刺しゃいける。ただその後なだめんのがダルい」
「最悪紫藤先生に頼めば?」
「結局あやすの俺じゃん?未羽がちゃんととらせてくれっかなぁ。以前の入院の時に暴れに暴れて俺、針刺ししてんだよ」
「え?アクシデント?事故報告させられたんです?」
「いや、未使用だったからインシデント。ヒヤリハットで済んだんだけど…トラウマもんだったから。まあおかげで注射うまくなったけどな」
「おまえら仕事中やで?何話してるんや?」
「わ。周防師長!」
「わ。ってなんやねん、わ。って」
「あ、いや…明日の早朝採血。2人はきついって話です」
「ああそう?ほんなら、近衛〜。明日前残業してや」
「はい?」
「せやから前残業の許可出したるから、未羽の採血近衛に任せたわ。頼むで」
「そりゃいい!周防師長ナイスアイデア」
「全然ナイスじゃないし」
「千歌?注射は打ってなんぼやからな。お友達なんやろ?やらしてもらい〜。ほな、総務行ってくるわ」
軽い口調で周防は話し、千歌の肩をポンポンと叩き残業許可書を取りに向かった
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