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呼び出し
その後紫藤と言い争うこともなく終業を迎え、涼木は退勤した。
ルルー♩
夜中も12時を回ったころ携帯が鳴り
「誰だよ…」
目を擦りながら携帯の文字盤を見ると〝病棟〝の表示
「あ?病棟から?」
なんかしたっけ?たしか1人持続点滴中だけど、滴下設定間違えたか?
んー、身に覚えがない…
「もしもし?」
〝あ?涼木くんさ、こんな時間に堪忍な?で、悪いんやけど病棟来てくれへん?〝
関西弁の先輩が困り果てた口調で呼び出してきた
「え!今からです?いったいなんで?周防 先輩。俺なんかやらかしました?」
〝そうやない。今日入った子な…おまえを呼んで寝ぇへん。眠剤も吐き出しよるし、いやぁ…困ったわ〝
「意味が?」
〝せやから早よ来て?〝
電話が切られ、意味も分からず出かける支度をし涼木は自宅のアパートを出た
「えーと…来ましたけど?」
「遅いわ」
「これでも急いだんですけどね?」
「まあええわ。うたのやつ、メシは食わんし、寝ぇへんし。明日、紫藤先生が怒るん目に見えてるわ」
「あ?いや…だから何なんです?」
「自分、頭の回転悪いやろ?だから、うたがおまえを求めて夜泣きしとんのや。せやからあやしてきてやってこと」
「えぇ?夜泣き…って何で俺を?普通…家に帰りたいとか医者出せとかそんな感じですよね」
「ええから。早よ行ってきぃ、おまえを待ってるから。それに、次の巡回も入眠確認できず訴えを傾聴す。なんて書けへんから。頼むわ」
「分かりました。たく…今度おごってくださいね」
求めてくれるってのは…まあ嬉しいけど、夜勤じゃないのに夜勤をしないといけない感じでげんなりだ…
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