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由宇、膀胱鏡

「無理…無理…無理。行きたくない…やっぱり無理。まだあそこ痛いのに今度は鏡?無理」 由宇は病室の床にしゃがみこみ両手で頭を抱え繰り返し呟いていた 「由宇くん、悪いけど時間無いでもう行くで?」 周防は由宇の右肘を持ち立ちあがらせようとしたが、由宇は振り払い 「断固拒否っ」 「あかんて。いずれはやらないかんのやからいやなことは早よ済ませてしまお?」 「別に周防さんには関係ないだろ!」 「査定に響く!」 「は?」 「せやから、納得させて検査室連れていかな俺の査定に響く言うてんねん。受け持ちやから、由宇くんの」 「んなことあるわけ…」 「あるんよ。新卒やあらへんけど少年棟では1年生やから達成項目とかいろいろあんねん。大人はいろいろめんどいねんで?」 「う〜…周防さんの事情とか俺には関係なくない?」 「俺を助ける思って頑張ってや?査定の話はずっこかったけど、由宇くんが心配なんやで?状況によっては尿路変更とか形成とかになるんやから」 「はぁ…もう分かった」 由宇はしぶしぶ立ちあがった 「お、えらいやん!褒めたるっ」 「わっ。髪、グシャってすんな」 「恥ずかしがらんでもええよ?尻の孔まで見た仲やん?で、かわいい弟みたいなもんやから」 ・ ・ 「あのさ、検査って相当痛い?」 検査台にパンツを脱いで座らされ、バスタオルが股間にかけられると由宇は口を開いた。 「んー…そうだな。不快感は強いかもしれないな。尿道内にも麻酔のゲルを入れるから痛みは昨日のよりかなり軽減されると思うが…」 「座っとるだけでええから楽にしとり?」 「周防、最悪押さえてもらうがまずは由宇の手が出てこないように側についててやってくれ」 「はい。介助はせんでも?」 「ああ問題ない。始めようか?」 「ほんなら、由宇くん。はい、お手手ぇ繋いどこーな?」 「だから赤ちゃん扱いすんなって」 周防は由宇の右手を繋ぎ、瀬谷に準備 OKの合図を送った。

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