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佐久間の過去(周防)

翌朝のこと、部屋に白衣を着た青年が現れた。「おはようさんーっ。自分、夕べはよぉ寝れたぁ?ええ天気やで?」 「え?…ぁ、まあ一応」 誰だ?妙に明るいテンション…規定ギリギリなんじゃ?ってくらいの明るい茶色い髪に目立たないけど右耳だけの小さなピアス、八重歯のこの男… 「んー?なんや俺の顔についとん?まじまじ見んといてや。こっ恥ずかしいで」 「ごめん…えと、誰?」 「あー堪忍堪忍!すっかり名乗った気でおったわ。周防。由宇くんきみの受け持ち看護師な?なんかあってもなくても気軽に話しかけてや?で。カルテによると…トラックに跳ねられて自転車のハンドルが貫通!?サドルで股間を強打やて?えらいヘビーな事故やな。で、突然の排尿障害っちゅうわけやな?」 「ですね」 「すれてんなー。ノリ悪いで?で、昨日は最細のブジーを通したんやな?痛かったやろ?」 「もうアレ、やです」 「そう言われてもなぁ。決めるんドクターやし。あ!でも昨日イかせてもろうとるやん?」 「なっ!そんなことまで書いてんの!」 「そりゃおんなじ孔から出てくるんやから必要な情報やろう?ん?直腸診近日中に予定?しかも祖父江先生に依頼すって…かわいそうに。なんで自分でせぇへんのやろ?」 「え?」 ぶつぶつ言う周防に不安を感じ由宇は周防の顔をのぞいた 「ん?なんでもあらへんよ?そない心配な顔せんでもええってこっちの話やから。それよりお熱測らせてもらうで?あと血圧もな?あと、昨日のおしっことうんちの回数は?」 謎の単語と知らない医師の名前に由宇は恐れたがはぐらかされそれに対する会話はそこで終わり、健康チェックが始まり脇に体温計、反対側に血圧計が巻かれた。 「しっこは4…かな。おっきいのはまだ」 「便秘?ちょー待ってや?」 青鉛筆で何やらグラフのようなものに丸をつけると周防はカルテをめくり 「最終一昨日やん。今日中に出したらなあかんな、これ」 耳に聴診器をつけ巻いた腕の上に丸い部分を乗せると周防は血圧を測り血圧計を外すと頷き 「うん。血圧は問題ないで心配せんでもええよ?ほなら時間なったら処置4行きぃや?」 にこにこの笑顔で周防は由宇の頭を撫でまわし、部屋から出て行った。

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