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由宇 爪切り

翌朝、夕べ祖父江に泣かされ汗をかかされたからか熱が少し落ち着き由宇は周防に爪を切られていた 「こ、怖いんだけど…っ」 「大丈夫やで。肉は切らんから」 ベッド横に置かれた椅子に座り、周防はオーバーテーブルに爪切りとヤスリを並べ由宇の手を握った 「熱また上がってこんうちに切ろうな?」 「うう…っ。なんでこんな目に」 「清潔保持やろ…」 パチン…パチン 「剥離防止に、感染予防」 パチン…パチン 「い…痛い」 パチン、パチン 「後は俺ら職員への危害防止や。先生まで引っ掻いたんやろ?」 「う…それは」 「あんまり深爪せんようにはしとるけど、ちょっと深めにな…これからの処置や治療の(さまた)げになったらあかんから」 パチン… 「そんなにひどいことされるんですか?」 由宇はかしこまって周防に尋ねた 「んーぶっちゃけそうやな」 「治療拒否できません?」 「無理やろ?てか急にかしこまってなんやねん」 「許してください」 「おいたしたからいじめとるんと違うで?」 「みんな怖いんだけど。痛いことばっかだし」 「病院やから痛いのは付きもんやからな。はい、おしまい。あとやすりがけな」 「そんなのしなくても」 「これもちゃんとやらなあかんねん」 「周防さん見た目と違って真面目だよね?」 「今だけと思うで?基本はものぐさやから」 「そうなんだ?ちょっと未来の周防さん見てみたいかも」 「見にこりゃええやん?」 「用も無いのに病院行けないよ」 「病院の仕事いっぱいあんねんで?医者やろ、看護師、検査技師、理学療法士に作業療法士…薬剤師。どれも勉強が必要やけど一緒に働ける日を待ってんで?」 「今からじゃ間に合わないって」 「成績よくないん?」 「いや、一応15番以内にはいるけど…」 「すごいやん」 「今回の入院で間違いなく落ちるから」 「心配せんでええ。みんなで教えたるから」 周防は由宇の頭をぐしゃぐしゃと撫でた

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