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由宇 17歳
「う…っ…腕、痛い…」
怪我をした腕が痛み由宇は腕をさすりながら体を起こした
ガーゼ…
反対の手に点滴…なんか頑丈そうなテープで覆われてる
「なんか…部屋が違う」
ベッドから降り、点滴スタンドをカラカラと押し冷たい扉を押すとビクともしない
「閉じ込められてるし…」
あんまよく覚えてないけど、怖かった…
もうあそこには行きたくない
痛いのは…もうやだ
・
・
「目ぇ覚ましよった。ちょっと行ってきます」
「何かあったら大声出して?ナースコール反応するから」
「分かりました、師長」
カメラに映る由宇を見てパンと牛乳を持ち周防は保護観察室へと向かい、扉の鍵を解除し中へ入りなるべく笑顔で由宇に話しかけた
「由宇くんびっくりしたやろ?いま13時30分や。お腹空いたな?」
パンと牛乳を周防は由宇に差し出し
「臨時食やからたいしたもんやないけど、おさめとき?」
「いらないよ」
「あかん。体重、この2週間で落ちてんやから。しっかり食べり?脅したらダメや言われとるけど鼻から胃に管通して直接栄養送りこむことになるで?」
「それは…やだかも。分かった食べる」
由宇はベッドの端に座りパンを頬張った
「おいしい…」
「それ、俺も好きやで?な、由宇くん隣ええ?患者さんのベッドに座るんは失礼って習っとるんやけど座りたい気分」
「別にいいけど?椅子ないし」
「凶器になりうるから置けれんのや」
「何、この部屋?」
「保護観察室言うてな?ちょっと落ち着かん子を安全に守るためのお部屋や。窓は開かんけど大きくて見晴らしはええから堪忍な」
「出れる?」
「もちろんや。由宇くんはちょっと動揺しとるだけや。かしこい子やしすぐ出れると俺は信じとる」
周防は由宇の頭をポンポンと軽く叩き
「食べ終わったら瀬谷先生呼んできたるわ。由宇くん姫抱きでここまで運んできた時に心配しとる顔しとったで」
「瀬谷先生が?」
「そうやで」
由宇ははにかんで笑った
「お。なんや?嬉しかったん?自分いまニコってしたやろ?」
「し…してない」
「意地っぱりやなぁ。先生〜って抱きついてみ?あの人喜ぶで?」
「またガキ扱いする!」
由宇は保護室であることを忘れて周防と楽しそうに会話をしながらパンと牛乳をたいらげた。
空になった牛乳パックと皿を見、周防は八重歯を見せ
「よく食べれました!頑張ったなっええ子や」
由宇を褒めちぎった
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