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由宇 甘える

周防は保護室から出てすぐ瀬谷へ連絡をとり、瀬谷はすぐステーションに来た。 到着した瀬谷に周防はアナルプラグとローションの小瓶を差し出し 「まだ、装着できとらんのです。祖父江先生が真尾師長に指示していかれたんやけど、寝とるん起こしてやるの忍びなくて…」 「いいよ。俺が…」 瀬谷はプラグと小瓶を受け取り、保護室に向かうと重たい扉を開けた。 ・ ・ 周防が出ていってからベッドに座りながら窓を見ていると扉が開いた。 ギィー… 音の方を振り返ると瀬谷がいて、由宇は思わず涙を一筋流した 「どうした!?由宇。痛いか?」 「違う…。祖父江先生やだ。瀬谷先生がいい」 「由宇…餅は餅屋と言う言葉があってだな前立腺に関しては祖父江のが優秀なんだよ」 「…」 「由宇?」 由宇は両手を広げた 「ご褒美くれるんだよね?約束。ハグして」 「突然どうした?」 「先生が治してくれるんだろっ、俺の病気!祖父江先生じゃなく!だったらハグしてよ。そしたら頑張れる。祖父江先生のとこにも嫌だけどいくよ」 「分かった」 瀬谷は由宇の頭を抱えるようにしてベッドに座る由宇を抱きしめた 「よく頑張った。これからも一緒に頑張ろう」 「先生ってタバコの匂いがする…」 「え?分かるか!?まずいな…」 「嫌いじゃないよ、この香り」 「由宇、明日処置3行ける?」 「先生が一緒なら…」 「迎えに来よう。その前に由宇…ちょっと嫌なことをしていいか?」 瀬谷は由宇から少し離れ、ポケットから黒い先端の尖った小さな丸い物体を取り出し由宇に見せた 「?」 「おしりのね孔に挿れておくものだけど…ちょっと痛いが明日の治療が楽になるから頑張ってみないか?」 「怖い…」 「大丈夫。ゆっくり挿れる」 「all foursとか言うのする?」 「そんな言葉を学習してきたのか?物覚えがいいな」 「どうしたらいい?」 「下着を腿まで下げて仰向けで少し片側だけ膝を立ててごらん?空間ができるから」 「うん…」 言われた通りの格好をすると由宇は瀬谷の手元を不安そうに見 「痛い?」 「そうだな…痛覚のあるとこだから痛むと思う…けど、なるべく痛くないようにローションをたくさんつけたから」 「…っぁ…んん」 「痛い?」 「少し…」 「下着戻せれる?」 「どれくらい挿れてる?」 「深夜0時の巡回で看護師が抜きにくるよ。その前にローションを付け足しに何度か来るはずだから」 「おしり、開きっぱになんない?」 「一時的なものだ。すぐ閉じるようになってる」 ルルルルルル♩ 「はい。瀬谷」 瀬谷はPHSにかかってきた電話をとりしばらく話した 「は?マーゲンの子がうちに転入?聞いていないが…。祖父江で手こずるような子か?」 ただならぬ瀬谷の顔に由宇は息を飲んだ 「自己抜管は阻止できなかったの?分かった。応援に行く」 瀬谷はPHSを切り唇を噛んだ。 「いいよ。行って」 「え?」 「なんか分かんないけどピンチ?終わったらまた来てくれるなら行ってきて」 「由宇、終業前に必ず寄る。行ってくるよ」 由宇は駆けていく瀬谷の背中に手を振った。

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