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おみ 19歳

「おみっ…おみ!落ち着けっ」 「嫌。やっ、離してほしか!イヤって言っとろうもん!先生なんて好かんとよっ」 「祖父江先生っ、この子えらい興奮してるで。どないします?」 周防は少年をなだめようと必死に少年の両肩を押さえた。 「なんでまた先生に診てもらわなダメと?小児科に帰らせー」 「よしよし、(おみ)。そう怒るな。お。助っ人の登場だ」 「待たせたね?急にどうしたんだい?転入の予定、今日じゃなかったと思うが…」 「この子の新しく受け持ちになった医者がおめでたで辞めたとかで元主治医の俺にお鉢がまわってきたんだよ。ちょうど小児科年齢も明けたしな」 「対応のむずかしい子なのかい?」 「いや、いい子だ。摂食障害。当然ながら性発達はほとんどしていない。どう見ても中学生かそこらだが19歳の子で御崎臣(みさきおみ)と言う。ちょっとなまりがあるのは6歳まで博多にいたかららしい」 「なんで(くだ)自己抜去を?今日はインシデントだらけだぞ」 「たまにやるんだよ。一種のパフォーマンスだろ?後で泣くんだから止めりゃいいのに」 「愛情不足的なもんとちゃいます?」 「周防っ」 横から真尾が口を挟んだ。 「先生、再挿入は?」 「12フレでいい。俺がやる」 祖父江が腕まくりをし、手を真尾に差し出すと真尾は手袋を祖父江に渡した。 「押さえ…どうします?すぐ対応できるように側にはついてますけど」 「暴れたり暴れなかったりだからなんとも…」 「ですか…。これだけ人数いるんでよっぽど大丈夫だとは思いますが…。はい、マーゲンゾンデ12フレ。潤滑剤付けます」 真尾が介助に入ると、 周防は優しく臣の頭を掴み後ろに反らさせ、体勢のサポートをした。 「臣ー…管が入るぞ」 「んっ…んぁ……や…ぁ」 少し嫌がる素振りを見せ、臣は足を震わせ、空を両手で掻き顔を左右に振った 「頑張れ。喉に入るまでが辛いね」 「ぁ…っあぐ…」 「喉詰めないよ?お顔まっすぐ。チューブ入らないからね?ゴクンって先生が通すの手伝ってあげて」 すかさず真尾がその手を掴み、臣を励ましながら指示すると祖父江はするすると流れるような動作で中にチューブを押しこんでいき、中のガイドワイヤーを引き抜いた 「終了。瀬谷、チェック頼む」 瀬谷は臣の腹に聴診器をあて、チューブの先に空の注射器をつけて空気を送り込んで胃に入っていることを確認し、中の内容物を引いてさらに確認した。 「OK」 祖父江も同様にチェックすると臣の鼻にテープを貼った。 無事に終わりほっと真尾は胸を撫でおろし 「臣くん上手だったね」 「もうやるなよ?痛いだろ?」 「だって…寂しかとよ?みんなばっかり成長しよったい。オレ…置いてきぼりにされた気がして…辛かったと!」 「大丈夫。臣は臣のペースで成長すればいい。ここはそういう科だから。大人になるのを応援する。約束だ」 祖父江、瀬谷、真尾、周防はそれぞれ顔を見合わせて頷き、臣に向けて笑顔を見せた

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