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周防 25歳

「なんなん?あれ…」 周防はステーションに帰るなりぶーたれていた。ご機嫌ななめな周防を心配して真尾は首を傾げ 「周防、なんかお怒り?」 「祖父江先生の話なんやけど、由宇くんいじめとるような感じやのに、臣くんにデレデレとか()せんわ」 「まあみんな受け持ちは可愛いもんだから」 真尾はデスクに座り、コーヒーマシンをセットすると書類に目を落とした。 その間も周防はぷりぷりと怒り続け 「えこひいきは反対や。なんであの子が一般床で由宇くんが保護観察室やねん。祖父江先生、頭おかしいんちゃうか?」 「言うね」 「何が違う?2人とも自己抜去してんねんで?ちゃいますか?」 「そうだね。まあそれは診てきた年数の問題?彼ら10年の付き合いだから」 周防に目を移すと真尾は微笑んだ 「は?」 「臣くんは9歳から入院してるんだよ」 「なんやて?人生半分以上入院してんの?」 「そうなるね」 「接触障害言うとったな、、なんで食べんのやろ…」 「分かんない。祖父江先生にも言わなかったみたいだから」 「師長!臣くんの受け持ち、自分にやらせてやってください」 「いや、何を言って?さっきまで怒ってたよね?きみ」 「怒っとったんは祖父江先生にですわ。食べられへんままやなんて人生損しすぎや。由宇くんともどもおまんまのありがたさ説いたる!」 「んー…分かった。周防に任せるよ。頼むね」 燃えている周防を生暖かな目で見つめ、真尾は書類に再び目を落とし〝受け持ち看護師 周防雅宗 〝と記入をした。 ・ ・ 「意気込んだものの、どないしたったらええんやろ?地方もん同士仲良うしたってなぁとか?いやいや…。んー…」 「周防、眉間に皺寄ってるよ。大丈夫かい?」 「瀬谷先生!どうしたんです?」 「由宇の様子を見に」 「おおきに。きっと喜びますわ」 「悩みごとかい?」 「いや…臣くんの受け持ちさせてもろたんやけど、どう対応したったらええんかなって」 「周防の思うようにやればいい。正解はないから。うまくいってはじめて正解が見つかるもんだと俺は思う。なんにしろ人間相手はむずかしいよ。心があるから」 「そうですね。やれるだけやってみます」 周防は瀬谷に背中を押され、臣の部屋へと向かった。

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