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由宇 ニコ 〝由宇 17歳編〝
由宇は今か今かと扉が開くのを待っていた。
ギィー…
扉が開くと駆け寄った
「おっと…ごめんな?由宇。まだ出せれない」
瀬谷は由宇を抱きとめ、そのまま垂直に抱き上げて部屋の中央へと入っていき、ベッドに由宇を座らせた。
「っや。違う!おかえりってするつもりだったんだけどっ」
「ん?」
「だから、おかえり!」
「あー…そういうことか」
瀬谷は腰を折り由宇に視線を合わし、由宇の頭を撫で
「ただいま」
「ここいると何も聞こえないし、景色しか見えないからちょっと落ち着けた」
「そういう目的の部屋だからな?本当は出してあげたいが…今夜は辛抱してくれるかい?」
「いいよ。あっちだと来てくれないけど、ここいれば先生が会いに来てくれるんだよね?だったら出たくない」
「え?ああ…そうだな。たしかによほど呼ばれない限りは行かないな。出たくない…と来たか。もっと出してくれって泣くのかと…」
「でも、祖父江先生が来たら泣く」
「よほど怖い目にあったようだな」
「怖かった!」
「そうか。いい先生なんだけどな?」
「どこが?」
「いずれ分かるさ」
「信じらんない。先生、明日来てくれる?」
「んー…朝は外来があるんだが」
「来てくれない…」
由宇はしゅんとし肩を落とし、肩を落とす由宇をみかねて瀬谷は優しくほほえみ
「分かったよ、由宇。朝1で来るから」
「本当?」
由宇はニコッと笑い
「じゃあ、行ってらっしゃい」
手を振り瀬谷を見送った。
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