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臣 採血

周防は採血セット一式を持って臣の部屋へと来た。 「臣くんおはようさん」 周防が手に持つ道具を見て臣は眉をつりあげ 「周防さん、嫌なもの持って来よるとね?」 「細い針にしたから頑張りぃ?」 「周防さん採血やれると?襟に初心者マークついとるばい」 「一応3年目やから何百とやってるで。安心しぃ。ほんならまず血管探しから行こか?手見せてな?んー…」 「血管、無かやろ?」 「看護師泣かせの腕やのぉ…使える血管あんまり無いで?経管栄養の前は点滴やったん?」 「うん。ばってん点滴はカロリー高いけん、すぐ血管ば潰れよると。痛いし」 「首んとこでやる点滴はやらんかったん?」 「消化器は悪くないからってまずこれになったと。あと、首のは引っこ抜かれると大変って」 「そんな何回も自己抜去やっとるんかいな。悪い子や」 臣はペロっと舌を出しおどけた 「だって。ついやっちゃうとよ。この衝動ば止めるのは難儀やと思う」 「インシデント書くのが上手くなりそうやな。おっといけそうなこと見つけたわ。ただちょっと痛いで?」 「えーっ」 「えーってなんやねんえーって。マーゲン抜く勇気あるんやったら大丈夫やろ?あれの再挿入のが間違いなく辛いんやないか?ほら手、握り?ぎゅっとしとって?」 周防は臣の手首を縛り手袋を付け血管を確かめると、消毒をし針を刺した 「…っっ。痛…」 「ええで。力抜き?手、痺れんな?」 「痛かよ、周防さん」 「堪忍。手の甲は痛いとこやから」 「うう…注射嫌い。昨日会った子、由宇くんだったかな?点滴つけてて可哀想やったと」 「仲良くなれそう?」 「分からんたい。オレはわがままやけんあんまり人に好かれんとよ」 「卑屈にならんでええよ?2人とも俺のかわいい患者さんやから仲良うな?よし、採血おしまい。綿、押さえとってな?」 「はい」 「1時間くらいで結果出るんやけど、祖父江先生の予定が読めん。午後から処置3行くんは確かやから、その前後で寄ってもらおうな?」 「うん」 「ほんなら検査部出してくるで待たな」 周防は臣の頭にポンと手を置き、検査部へと向かった

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