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臣19歳 頑張る
「えーと…これは入っても大丈夫ですか?」
遠慮がちに真尾が部屋に来て、熱い抱擁シーンに真尾は戸惑った。
「ああ、大丈夫だ」
「暴れてます?」
「いや、まだだが」
状況がよくわからず真尾は不思議そうにしたが、ベッドに注射道具の入ったバッドを置き
「用意してきました」
「真尾、そのまま頼めるか?」
「僕が?」
「無理か?」
「いえ」
「先生ぇ…」
不安そうに臣は声を漏らしたが祖父江は臣を横に寝かせ、臣の手を握った。
真尾は臣の反対の腕を縛り見えない血管を手探りで確認すると手袋をはめた
「じゃあ臣くんごめんね、チクってするよ…」
「…っ」
消毒をされ針が刺さると臣は一瞬ビクついたが、おとなしく終わるのを待った。
「逆流は?」
「来ない」
「少し針の位置が深いな…引いてみろ」
「来た」
「よし。ゆっくりな」
「分かってます。ただ2分耐えてくれますか?」
「大丈夫だ。刺してさえしまえば意外とおとなしい」
「はい」
「痛かよ!」
むくれて臣が口を挟むと祖父江は臣の額をデコピンし
「刺すのはこれより痛くなかったろ?」
「いてっ。デコに穴開いてなかと?」
「大丈夫だ」
「う〜…この注射ば本当好かんとよ。そんな真っ黒かもの体に入れて問題なかとね?」
「問題はない」
2人の会話は続き2分強が経つと真尾は臣から針を抜いた
「おしまい。臣くん頑張ったね。えらいぞ」
真尾に頭を撫でられると臣は照れて笑い、後片付けをする真尾に
「宵ちゃん、また明日も来てくれると?」
にこやかに話しかけた。
「ん?そうだね。時間見つけて会いに行きますね」
「わ!嬉しか」
「それじゃあ俺も戻るか」
臣は祖父江の手をぎゅうっと握り
「先生。俺、頑張ったとよね?」
「うん、そうだな。頑張った」
「なのになんで帰ると?」
「う…圧が」
「ふふ。もうしばらくいますか?先生」
真尾に問われて祖父江は頷いた
「負けたよ」
祖父江は臣に負けしばらくの間、臣の部屋で過ごした
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