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真尾師長、夜勤をする

「申し送りまーす」 師長の声がステーション内に響いた。 「夜勤の子到着まだなんだけど時間なのではじめていきます」 周防はその声に反応し立ち上がりカルテの入ったワゴンを押し 「由宇くん、申し送りしてくるな?部屋帰る?」 「まだここがいいんだけど」 「寝心地悪ない?由宇くんがええならええけど」 「大丈夫」 申し送りへと向かった。 「…以上かな?今日もおつかれさまでした」 申し送りが終わると外線が鳴った ルル♩ 「はい。未分化少年特殊治療棟、真尾です。え?大丈夫?うん…とりあえず今日は休みなさい。問題ないよ。なんとかするから。また連絡ください。お大事に」 「真尾師長、先輩からです?どないしたんです?」 「来る途中事故に巻き込まれて今隣町の病院にいるらしい。と言っても擦り傷で済んだみたいだからよかった」 「え…時刻って今晩どうなるん?擦り傷って先輩大丈夫やろか?あの、俺残りましょうか?」 「いや、いいよ。僕は明後日公休だから、今日このまま働いていく。周防は連日出勤になるから気持ちだけもらうね」 「師長、夜勤なんしたこと…」 「ここではね?久しぶりだけど、たまには夜の子どもたちも看てみたいし」 「ほんならお願いします」 周防たち看護師は師長に頭を下げ、残りの業務をさばきに向かった。 周防は隣室の処置ブースに戻ると、暇だったのかうとうとしている由宇の頭を撫でた 「申し送り終わったで?由宇くん、よぉ寝る子やな?夜、寝れんくなるで?あんな?今晩師長が夜勤になったでちゃんと寝たってな?」 「師長さんって夜勤するの?」 「いや、今日だけ特別らしいわ。由宇くん、部屋送るでそろそろ戻ろか?」 「まだここにいたかった」 「せやけど10分もしたらみんな退勤やで?」 「そっかみんないなくなっちゃうよね。分かった。帰る」 「なんなん?自分寂しいん?」 「…」 「無言かいな。まあええわ」 周防は由宇の手を引き、由宇の部屋へと誘導した

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