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真尾宵と祖父江実継
「実継 さん…」
目覚めると真尾は祖父江の下の名を呼んだ
「起きたか?やりすぎたな、悪かった」
祖父江は真尾を労わるかのように、真尾の頬に手を添え
「何か飲むか?」
優しく声をかけた。
「謝るのに…優しく話すのになんで拘束したまま?」
「おまえはすぐ逃げるから」
「だってあなたときたらえっちになると激しいんだもの」
「可愛いくてついな」
「結婚するよう促して手放したのは実継さんなんですけど?」
「当時はそれが正解だと思った」
「で?」
「戻ってこい」
「無理ですよ。レスとはいえ離婚はやすやすとできるものじゃありません」
「分かってる。…だけど」
「まさか不倫させる気ですか?」
祖父江は黙って頷いた。
しかし、真尾は頭を横に振り
「今なら一度の過ち。気の迷いで済みます。ずるずると関係をのばすのは良くないと思います」
「宵…」
「分かってください。大人になりましょう?お互い35歳と40歳なんですから」
「宵…逆に聞きたい。何故そんなに冷静でいられる?」
「…」
「宵?」
「手、解いて…。逃げませんから」
「分かった」
手が解かれるとやや跡の残った手首をさすり、真尾は祖父江に抱きついた
「え…よ…い?」
祖父江の目が驚きに見開く
「ばか」
「えと…」
抱きしめ返していいものか分からず祖父江は手を泳がせ
「宵?宵さん?」
「必死で忘れようとしたのに思い出させた責任とってくれるんですか?」
「もちろんだ。その、いい…のか?」
「何度も言わない…キスして…?愛して…ください。それから熱いコーヒーを飲みましょう?2人で」
祖父江は宵を抱きしめ返し、ねっとりとしたキスを宵に送った。
宵もまたきつく抱きしめ、祖父江の舌に舌を絡めた
もうどうでもいい
自分の気持ちに嘘はつけない…
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