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学生さん

しばらくするとガラスの向こうにゾロゾロと白い塊が見え、由宇は焦った。 「え…な、何…あれ」 体調悪すぎて幻覚? 「学生さんやね」 「学生…?」 「看護師の卵とよ。こん科にも実習に来るとやね。3週間ひとところで学ぶそうばい」 「くわしいな」 「小児科の時、学生さんが付いてくれたことがあったけん。その学生さんたちが教えてくれたと」 「たち?」 「入院長いけん、学生さん付いたの一回だけじゃなか。ちなみに奈南さんがそうばい」 「へ?そうなんだ?あ、だからせからしかってのを知ってたりしたんだ」 「またここから出たころ話してあげるけん」 「分かった。あーしかしびっくりした。幻見えちゃったかと思ってさ。しかし実習とかなんか大変そう」 「いろいろ積み重ねていまの先生たちと看護師さんがおると。みんな凄かよ」 「凄い…のはなんか分かった。ちなみに夕べ臣、寝れた?」 「寝た。注射痛かったけどおかげで寝れた。祖父江先生でもあんだけ痛かっちゃけん…他の人が打ったら…うー考えたくなか」 「そう言うなって。痛くて寝れないのもやじゃん。祖父江先生なら別にいいじゃん」 「じゃあ由宇がされたらよか!わーわー泣くに決まっとーと」 「泣かないし…」 「由宇、夕べなんばあったとね?酸素マスクしとる。寝ねてないんじゃなかと?」 「え…と、寝たよ。…うん」 由宇は夕べを思い出し、顔を赤らめた。 恥ずかしすぎる…っ 「ってわ…あいつら窓のとこ来るし」 「あ!大雅」 「え…臣?知り合いいた?」 「幼馴染」 「会いに来てくれるといいな」 「え…こげん姿ば見せたくなか!恥ずかしか。あ…」 「どうした?」 「看護師の卵が来たってことはお医者の卵も近々来るとやろね」 「なんか問題ある?」 「採血…実習」 「は?」 「血ぃ採られる」 「本当?」 「本当」 「やだ…かも」 「2人とも何青ざめとん?夕べ2人とも頑張ったんやってな?夕べよりは体調ええんかな?」 「あ、周防さん。また仕事?これ、取っていい?」 由宇はビヨーンと酸素マスクを引っ張った 「ダメや。ちなみに明日夜勤入りでようやく休み。明日平穏に過ごさせてや?で、何?」 「いや…医学生が採血するって臣が言うから」 「あーそりゃ指導医がついてするやろ?その為の実習なんやから」 「俺、やだよ」 「嫌がる子説得すんのも実習やねん。協力したって」 「やだし」 「まだうちに来るかも分からんうちから嫌がられてもなぁ。まだ初年度やし見学だけの可能性が…。まあ来ること決まったら悩み?ってわけで、採血させてな?」 「え?なんでそーなる?」 「指示やで仕方ないやん?」 「明日にしようよ」 「ほんなら選ばしたる。今から手にするか明日足にするか選び。しー先輩が足採血、腕が落ちる前にやりたいって言っとたわ」 「脅す?」 「ちゃう。選択や」 「由宇…いましてもらった方がよかと。足、されたことあるけどあれは痛かよ」 「うー…分かった」 「よし、ちゃっちゃと行こか」 周防は採血の道具を一式ベッドに並べ、支度を始めた。

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