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新学期

「おはようございます」 真尾が出勤するとみんなが驚いて振り返った 「師長その服暑ない?9月や言うてもまだタートルネック着るには早い思いますけど?」 「えーと…寒がりなんだよね」 一昨日祖父江につけられたいわゆるキスマークがかなり目立ち真尾はタートルネックを着て出勤してきていた。 朝の風物詩、申し送りがスタートし終盤まで来たところで師長が口を挟んだ。 「えと…最後に全体の連絡ね、昨日から新学期ということで学生さんが今週からいろいろ来だすんだけど、当科にも見学だったりなんだったりで出入りがあるからみんなよろしく。じゃ、1日お願いします」 「お願いします」 それぞれ持ち場につくと真尾は自分の椅子に座り、タートルネックの襟をつかみ、手で仰いだ 「暑…」 「真尾、おはよう」 何食わぬ顔で挨拶をしてくる祖父江に真尾はそっぽを向いた 「…」 「真尾…?そうくる?無視か〜…弱ったな。患者さんの様子は?」 「臣くん、夕べ少量嘔吐でバイタル問題無し、現在観察中。由宇くん、新学期入ったことで昨日からご機嫌ななめ。それから…」 たんたんと状態報告し 「最後に真白くん、マルクの結果あがってる」 ずいっと紙を祖父江に差し出し 「以上」 「え…あ、ありがとう」 祖父江が紙を受けると、真尾は立ち上がった 「会議あるんで失礼します」 「よ、宵っよーいさん待って」 祖父江は真尾の手を強く掴み 「悪かった。つい独占欲が…」 「職場だからやめてほしい」 「あ、ごめん」 慌てて祖父江は手を離し 「それから呼び方。先生が不利益被るんじゃない?浅はかだと思う」 「ごもっともです」 「…」 真尾は歩きだし、数歩で立ち止まり振り返り 「明々後日、駅前に18時」 「宵…」 端的に話し真尾は真っ直ぐ前を見て再度歩き出した

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