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真白 かくれんぼ

「どうしよう…逃げちゃった」 突発的に逃げたもののどうしていいか分からず真白は臣の部屋に忍びこんだ 「え?」 「あ、どうも」 驚く臣に真白は近づき 「追われてるの。かくまって?」 「なんば言いよっとね?」 「だから、追われてるの!」 「きみ、たしか真白ちゃんやね?小児科で見たことあるばい。俺、お腹動いとらんくてしんどいけん、遊びはよそでやってほしかよ?」 「ううっ」 真白は泣きそうな顔をして臣を見 「お願い」 「こんな時間に追われてるって…なんか悪さしたとね?」 「してない。怖い検査またやるって言うんだもん」 「今から?」 「違う。今度…だけど」 「決まったもんは覆せれんばい。延期はあってもなかなか中止は無か。諦め」 タタタ…タタタ 「まーちゃんっっ」 「いた?」 「おらん」 「病棟内にはいるんだろうけど、なにしろ小柄だからかくれんぼは昔から得意なんだよね、あの子」 「だいたいどういうとこに隠れてます?」 「普通に部屋にいたこともあるし、カーテンの中とか戸棚の中とかいろいろだよ」 「部屋にはおらんで?臣、ちょっとええ?部屋ん中あらためさせてもらうで?」 周防は臣の部屋に入り、あたりを見回すが臣しか見えなかった。 「え?…うん。どうしたと」 「こんくらいのちっこい少年見んかった?」 「知らなかよ」 臣は咄嗟に嘘をついた。 真白はドキドキとクローゼットの中で息をひそめ、周防が消えるのを待った。 「そっか。またもし見かけたらコールしてな?探してんねん。ところで…うん」 チューブから流れ出ている液体を見て 「シート変えとくな?後でお腹見せてもらいに来るわ」 「分かった」 臣は周防に手を振り見送った。 真っ直ぐ前を見ながら臣はクローゼットに向かい 「いなくなったばい」 その声に導かれクローゼットがそーっと開き真白が顔をのぞかせた

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