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臣と祖父江
その夜、臣は熱と腹痛により苦しみ唸っていた
「…っー…う、うー」
夜勤の看護師は臣の背をゆっくりとさすり、励まし
「臣くん、大丈夫だよー。しんどいね」
「看護師さん…ねぇ、俺死んじゃう?死んじゃうと?」
「大丈夫。イレウスは死ぬほどしんどいとか言うけど、俺の知ってるかぎりはみんな大丈夫だったから」
「お腹ば…痛かよ…苦し」
「痛む?」
臣は静かに頷いた
「鎮痛剤使えないか先生に相談してみるね?少し席外すけど、大丈夫かな?」
「うん…」
看護師は早歩きで臣の部屋から消えた
看護師が消えた後も臣の苦しみは続き、臣は枕にしがみつきながらウトウトしながらまた痛みにより覚醒するという間欠的な痛みで朦朧としていた
「せんせぇ…痛かよ。助けて…ひとりは寂しか…せんせ」
ヒヤ…
「…?」
朦朧とするなかで大きなひんやりした手が額にあたり、抱き起こされしっかり抱かれると袖をまくられてチクリとした痛みとともに優しい声が聞こえた
「もう大丈夫。注射がもうすぐ効くから」
そっと寝かされると柔和な顔で臣を見つめる祖父江が見え、臣は嬉しさに綻ぶような笑顔を見せた
「先生?来てくれたとね?」
「頑張ったな?臣。待たせて、ごめんな」
「嬉しかよ…先生、ありがとう」
祖父江は臣が寝付くまで臣の頭を撫で続けた
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