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いい夢見ろよ
臣の部屋から真白の部屋に入り、真白がスヤスヤと気持ちよさそうに寝ているのを見て祖父江は目を細めた。
「子どもが寝ているときってかわいいな。あどけない…」
起こさないようにそろっと手を伸ばして頭を撫でると、そのまま由宇の部屋へと向かった。
起きていると怖がるんだろうな…あいつ
そろりと部屋の中に入ると、はだけた布団を被り眉を寄せて眠る由宇が見えた
「夢見が悪いのか?」
はだけた布団を元に戻そうと由宇の手を掴むと「あ…点滴、漏れてんな。痛くてそんな顔して寝てたのか?おまえ」
祖父江は点滴の滴下を止めて機械からチューブを外し針を抜くと、すぐさまステーションへと向かった。
「悪い。由宇の点滴が漏れてる」
「あ、すみませんっ。すぐ留置しなおします」
「いや、いい。俺がやる。道具と冷やすシートだけ用意いいか?」
「先生やってくれるんです?ラッキー」
看護師はガッツポーズをしながら支度をはじめ、道具をのせたバッドを祖父江に手渡した
「お願いします」
「ん」
祖父江はバッドを受け取り、由宇の部屋へと戻った。
扉を開けると、ベッドの背にもたれながら目覚めて手をさすっている由宇と目が合った。
「なんだ。起きたのか?」
「先生…」
露骨に嫌そうな顔をする由宇に祖父江は苦笑し、点滴を刺し直す用意を始めた
「嫌か?」
「嫌」
「だよな?」
「痛い…」
「これ貼っときな」
冷やすシートを由宇の腫れている手に祖父江は貼った。
「冷た…っ」
「多少楽になる」
「え…なんか…優しい?」
「…」
返事に困り祖父江は無言で由宇の反対側の手を駆血し、血管を探し手袋をはめた
「由宇、あの本な…ちょっと読んだんだが…3日おきだそうだ」
「え?」
由宇が疑問に思っているうちに祖父江は由宇の手を消毒し
「精液を出すタイミング。良質なホルモン作りにいい」
針を刺した。
「何言って…」
「おしまい。ちょっと動かないでくれよ?いま本体と繋ぐから」
針と本体を繋ぎ、手袋を外し機械にチューブを通すと滴下の設定を祖父江はした
「嘘…いつの間に…」
「いつの間にか」
驚く由宇の頭をポンポンと叩き
「じゃあな。いい夢見ろよ?由宇」
祖父江は由宇の部屋から出ていった。
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