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由宇 尿検査2

「えと…お願いします」 由宇は処置4の扉をそっと開けて中に入ると、 目の前のベッドに居座っているでかいクマに目を奪われた。 ウィーンカチャン クマに気をとられている間に電気錠が閉まり由宇は反射的にビクつき 「…っ!」 「大丈夫か?」 「これって心臓に悪い気がする…てか、あのクマ…なに」 「んー…そういう仕様だから仕方ないな。それはそうと由宇、時間どおりに来れて偉かったね。あれはクマちゃんだ」 「時間守んのは当たり前だし」 「それができない子が多いんだよ、由宇」 「そんなもんおしりぺんぺんでもしとけば?」 「ははっ。おしりぺんぺん!なるほど。考えておくよ」 由宇の発想に瀬谷は腹を抱えて笑い、ベッドを指差し 「横になろうか?」 「う…うん」 「よし、横になったらはい」 瀬谷は両手でくまちゃんを抱き由宇の前にくまちゃんの鼻先をちらつかせ 「な、何?」 「くまちゃん抱っこしようか?」 「は?」 「いやね、この間の祖父江との処置で由宇はしがみつくと落ち着くようだったから用意したんだ。久しぶりにクレーンゲームをしたら思いのほか熱中してしまった」 「クレーンゲーム…」 「そう、クレーンゲーム。1500円でとれたからまずまずだろう?」 「やるんだ?」 「目に入ったからね、くまちゃんが。かわいいだろ?貸してやろう」 「よくわかんないけど…」 由宇はクマを抱きしめ 「これでいい?」 クマの顔の端から顔をのぞかせ、瀬谷に尋ねた。 由宇と目が合うと瀬谷は頷き 「じゃあ下着脱がせるからおしりあげてー。さんはい、上手」 「うー…緊張すんだけど。痛くしないでよ?」 「大丈夫大丈夫」 瀬谷は手際よくカテーテルの支度を進め、由宇にカテーテルを通した 「…っ…」 由宇はくまちゃんを抱きしめ、カテーテルを通される違和感を耐え 「由宇、水分摂ってるか?」 「あんまり…かも」 「ちゃんと飲んでくれ。点滴してるのに微妙なのが出てきたぞ」 「え…また24時間のやつやる?」 「やらない。あればあれで感染リスクあるから。まずは飲んで」 「分かった」 「終わり」 「…っ。抜くときもやな感じ」 「まあ異物だからなぁ。由宇、くまちゃん持って帰るか?」 「ええ、いいよ!恥ずい」 「遠慮しなくていいのに。じゃあ由宇」 瀬谷は両手を広げ 「は?何?」 「おいで。ぎゅっとしてやろう」 「いっ、いい!恥ずかしい」 「恥ずかしいか?照れてるのか?由宇。まあいい。またしてほしいときに言いなさい」 「そ、それより鍵開けて出してよ」 「はいはい」 カチャンウィーン 扉が開くと由宇は真っ赤な顔をして走って処置4を脱出した 残された瀬谷はくまを見 「素直じゃないなぁ。なぁ、くまちゃん?」 ふっと笑みを浮かべた

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