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臣、嬉しい

「そういえば、臣。夕べはここで過ごしたの?それとも保護観察室行った?」 由宇は臣から少し離れ、首を傾げながら夕べの様子を尋ねた。 「ここにおったとよ」 「なんもなかった?」 「うん。熱も出て痛かったけん…辛かったから妄想かもしれんけど、祖父江先生ば来てくれて嬉しかったばい」 「あー、たぶんそれ妄想じゃないかも。俺んとこにも来たし。あの人、注射うまいのな?」 臣は由宇の言葉に満面の笑みを浮かべ 「来たんだっやっぱり!ふふ。前に先生は素晴らしかよって言ったっちゃろ?注射もうまくて、優しくて!由宇にも祖父江先生の魅力ば伝わったんやね!嬉しかっ」 「めちゃ興奮してんな、臣。また周防さんがふっとんでくるよ?」 タタタっ 「ほら、噂をすればだ」 「あいや〜」 「臣っ!って、あーなんや、由宇くん来とったんか?心臓縮むって」 「ごめん、周防さん」 「2人で抱き合って見つめて何やってんねん」 周防は先日の由宇を思い出し、思わず顔を赤くし 「由宇くん?臣くんいましんどいねんから、おいたはしたらあかんで?」 「はい?」 「だからな?臣くんといちゃついとったんやろ?」 「いちゃついてないし!ただ抱き合ってただけだし」 「周防さんが心配ばするようなことはしよらんと。さすがの俺もいまは無理ばい」 「それって…調子よかったら…」 周防は言いかけて止め 「まあ、ええわ。由宇くん、そろそろ臣くん休ませてやってな?自分、食堂行く時間なん忘れとるやろ?」 「え?もうそんな時間?」 「そやで」 「分かった。じゃ行く。臣、また…んー、明日かな?ちょっと遊びに来てもいい?」 「ええよ。待っとーよ」 臣は2人に手を振り、由宇と周防は部屋から出ていった

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