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実継と宵の夜 1

「部屋…どこでもいいですよね?」 「え…あ、ああ」 祖父江は頷き、真尾は中間グレードの部屋をタッチパネルでタッチした 「宵…いいのか?」 祖父江が遠慮がちに尋ねると真尾は頷いた 「一度付けた火はなかなか消えないんだもの。責任とって鎮めてくださいね」 「分かった」 エレベーターに乗ると祖父江は真尾の後頭部を掴み荒々しく唇を奪った 「ん…っ」 エレベーターの扉が開くと祖父江は真尾の手を引き点滅するナンバーの部屋へと向かい中に入った 「宵」 祖父江は真尾の服の裾に手を忍ばせようとしたが、真尾がその手を掴んで止めた 「ま、待って。シャワーを…仕事終わりだから」 止められると素直に手を退かし祖父江はソファに座り 「分かった。ところで子どもたちみんないい子にしてたか?」 「由宇くんはひとりで処置に行って帰ってこれてましたよ。ただ、あまり尿の性状がよろしくなくて」 「膀胱留置したか?」 「ううん。カルテ見たけど感染リスクを考慮して今日はやめたみたい。また尿閉起こすようならやるんだろうけど」 「さすがに由宇も留置したバルンカテーテルを自己抜去しないだろうが…点滴を引き抜いてるから怖いんだよな」 「え…そんなの血みどろ惨劇じゃない。想像させないでくださいよ、おそろしい」 「臣は?」 「減圧はできてるんだけど…痛みと熱が心配な感じ。おやすみ中もやっぱり気になる?」 「そりゃあな」 「その優しさに気づいてるのが臣くんだけってのが切ないですね、実継さん」 「由宇なんて完全に引いてるからな。あれだけビビりながらも強気な態度とられるとわざといじめたくなる」 「Sですよね…実継さんって、本当」 「そうだよ。だから、シャワー浴びるなら浴びろよ」 「一緒に入らないの?」 「やらしいことしていいか?」 「ばか…」 真尾は走って風呂場へと向かい、鍵を閉めた

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