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由宇 再び尿閉

真尾と祖父江がホテルにしけこんでいる頃、病棟では由宇が腹を抱えて唸っていた。 「いってぇ…うー…」 もしかして…もしかしなくても… 「…うっ、げぇっ…かはっ」 由宇はベッドサイドに嘔吐した。 やばいやつじゃん ゲロっちゃったし、、 「気持ちわる…っっうぇっげ…っほ…けほっ…っは」 2度目が出て、それが気管支に入り息苦しさに由宇はナースコールに手を伸ばし助けを呼んだ 「由宇くん?どうしたのっ。わ…」 牟呂は広がる光景に一瞬戸惑ったが、由宇の枕を外し体を右に向かせると携帯を取り出しドクターコールをした 「瀬谷先生っ当直ですよね?由宇くん、嘔吐です。たぶん誤嚥して…っ」 〝すぐ、行く〝 「由宇くん、ちょっと待ってて?先生呼んだからね」 牟呂はいったんステーションに帰り救急カートを部屋に引き入れ、由宇の指に酸素モニターを付けた。 「92%…。苦しいな由宇くん。今吸うから」 「吸う?…っは…な…に?」 ベッドの頭上に備えつけられた吸引機の圧をあげて由宇の鼻の中へと管を入れた 「…っ!?」 由宇はその痛さに涙をうかべ、頭を振り牟呂の手を掴もうともがいたが逆に掴み返され手を胸元に固定された 「苦しいよな?ごめん。でも、これ吸ってやんないと肺炎になる。我慢して」 吸引したことで数字が90に下がり牟呂は険しい顔した。その顔を見て由宇は恐怖を覚え 「っや…。ぜぇ…はぁっ。苦し」 ガラ 「待たせた」 「先生、いまサチュレーション90で喘鳴続いてます」 「それはよくないな。変わるから顔と手押さえて」 「はい。お願いします」 「よーし、由宇。今から5秒、5秒だけ耐えて」 「っいっっ」 瀬谷はするすると由宇の鼻腔に管を通し 「ごほっ…ご…ほ」 「上手…もっ一回咳して、3、2…」 「ごほ…も、やぁっって!」 「終わり。由宇、落ち着いて吸って、吐いて、吸って」 「う…すぅ…はぁ」 「94…まずまずだな」 「いったいじゃん!先生のバカっ苦しすぎ」 「よしよし。ごめんごめん」 「血、出てない?」 「出てない大丈夫だ」 「ゲロっちゃったんだけど」 「由宇、おしっこ出てるか?」 「出てない…お腹痛い」 「牟呂、ちょっと心配だからこのまま保護観察連れてく。で、バルンカテするわ。ここの片付けは後で手伝う。道具もろもろ準備いいか?」 「はい」 瀬谷は由宇を横に抱き上げ歩きだし 保護観察=スタッフ独り占め の考えになっていた由宇は内心喜び、瀬谷にしがみついた

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