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まーちゃん、イヤイヤ期

「やーんっ。行かない」 真白は検査着に着替えさせられたものの怖気がさして嫌になり、柱にしがみついて部屋から出るのを渋った 「んー…困ったな」 迎えに行った看護師は頬を掻き、電話をとると師長に指示を求めた 「師長…まーちゃん、セミ状態です」 「やーっ」 〝うん。聞こえた〝 「どうします?」 〝ベッドにさ、寝かせれそう?〝 「え?こっちのです?」 〝そう。馬乗りにでもなんでもなってお尻出しといてもらえるかな?本当はよくないけど、後に差し支えるからなるべく悟られないように行かせてもらう〝 「分かりました。待ってます」 電話を切ると看護師は一息ついて、真白の背中を撫でた 「まーちゃん、とりあえず落ち着こうか?師長さんがね会いに来てくれるって」 「師長…さん…っ?」 真白はグズグズ言いながら目をこすり、看護師の言葉に耳を傾けた 「うん、そう。待ってる間にちょっと練習しよう?」 「練習?」 「おいで」 看護師の手招きで真白はベッドまで歩いてきて座った。 「そうそう。それでどうやって待つんだっけ?」 「お腹ベッドにペタンってして寝る」 「正解。よく覚えてんじゃん?やれる?」 「うん」 「まーちゃんさ、看護師さんたち押さえるの怖い?」 「怖いよ」 「だよね。こうやって押さえるからこれも練習しておこうな」 真尾が注射器を裏手に持ち、そーっと侵入してくるのが見え看護師はさりげなく押さえの体勢に入った 「まーちゃん、看護師さんちょっと謝らないといけない」 「?」 ヒヤ… 「冷たいっ」 チク 「ーっっ!」 「ごめんな?」 「まーちゃん、ごめんねー」 「師長しゃんっっやー、看護師さん離してー」 「後少し。ok入った」 「さすがです。師長」 「騙し討ちだから褒められたことじゃないけど、無事セデーションかけられたから良かった」 「…?」 「イヤイヤ期落ち着いたかな?約束通りもうちょっとで先生来るからね」 真尾はしゃがみこんで、ポーとしだした真白の頭を撫でた。

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