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臣、イレウスチューブ3
「支度、始めようか?臣。周防」
「先生、脱がしたってくれます?パンツ」
「?」
祖父江は意図が分からず首を傾げ、その様子を見た周防が溜め息をつき
「はぁ、だってな臣くん、俺のこと怖がるんやから仕方ないやん?たぶん、俺がパンツ脱がしたら好かんーって泣くの目に見えてるっちゅーか」
「んー…ここに真尾がいたら苦手意識もたずにプロならやりなさいとか言うんだろうが…。泣かれると後に差し支えるから今回は俺がやろう。その後の介助は頼むぞ?」
「分かりました」
周防が後ろに控えると祖父江は臣の横に立ち
「パンツ脱がせるからおしりあげて?」
「それくらい脱げれるたい」
「無理するな、こういう時こそ甘えろ」
「はい」
臣は素直に返事をし腰を浮かし、祖父江はタオルの中に手を入れ臣のパンツを取り去り
「周防、これどうする?帰りはおむつになるから必要ないが…」
周防はビニール袋を広げて持ち近づき
「もらいます」
「ん」
袋にパンツが入ると周防は袋に〝御崎臣〝と記入しカゴに入れた
「あとでリネンサービスにまわします」
「え…おむつ………」
「肛門に管が入るからしばらく…数日はおむつがいるかな。あと一息のとこだからそんなに長くは無い予定」
「先生…なんばしよると?」
「肛門から大腸まで管を通すんだ、あれ使ってナカを見ながら。麻酔を使うから痛くは無い安心して」
あれと大腸内視鏡の機械を指差すと臣の顔が引き攣った
「帰る…」
「あかんで?臣くん。治さへんと。逃げたらあかん」
「分かっとーよ。分かっとーけど、怖かもん!」
「ごめんな、臣」
祖父江は手に針のついていない注射器をもち、点滴のチューブに注射器を繋げ、鎮静処置を始めた
「先生…っ」
ためらわず処置を始める祖父江に周防は驚いて声をあげたが、マスクの端から見える辛そうな祖父江を見て口を閉じた
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