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臣、急変

「臣くん!あかんっ先生!!血圧がかなり下がってっ。顔面真っ青やし、冷や汗出とる。招集?え…どうしたら、ええ」 「落ち着け、周防。ショック状態になっているだけ。輸液全開に」 慌てる周防に落ち着くように祖父江はさとし、祖父江は点滴速度をマックスにするよう指示を出した。 レントゲン技師が救急カートを近くにつけると おろおろしていた周防はビクっと体を体を跳ねさせて指示に反応し動いた 「よし、そしたら昇圧剤いれるぞ、エホチール」 震える手で周防がカートから取り出した薬剤の小さな瓶の頭を折り、中の薬剤を注射器に移し替え点滴チューブと繋ぎゆっくり注入していくのを横目に見、祖父江はやりかけの処置の続きをはじめ、手を動かしながら周防に次々に指示を飛ばした 「酸素投与2リットルから様子みる」 ガイドワイヤーを抜き去り、内視鏡でナカを確認しながらカメラを抜き、臣のイレウスチューブの挿入を完了させた 「出血は…無いな、血圧は」 「あ、あがってきてます!」 「OK。臣、ごめんな」 祖父江が臣の手の爪にボールペンの先を押し付けると、臣は手を引っ込めようとする動作をしめした 「…っ!」 「痛かったな?すまない。反応があってよかった」 「あーよかった!!ビビるわ、ほんま!」 「周防もよくあのままフリーズせずに頑張った。3年目なのによくやったよ、おまえ。臣に嫌がられて凹んでたけど自信持っていい」 「なっ」 周防は急に褒められて、マスク越しでも分かるほど耳まで顔を赤くして照れた 「調子狂うわ…鬼かと思うと優しいし…。あ、先生…膀胱カテ入れる言うとったけどちょっと様子見たってくれません?」 「ん?」 「いや…なんか、管だらけで…苦痛やろなって」 「そうだな、分かった。今夜はまた俺、当直だし6時間様子みよう」 「よっしゃ臣くん。終わったでおむつつけさせてもらうな。カテ無しにしてくれたで気にせんとパッドん中にシーするんやで?」 「恥ずかしい…」 「発語あったな。一安心や。臣くんさ、管つくよりええやん?痛いし、前も後ろもやなんて苦痛でしかないで?」 周防は臣の陰茎をパッドに包みおむつをつけ、 その間に祖父江は椅子を引っ張り出し臣の頭元に座り、そっと臣の顔の前に手を伸ばした びっくりして臣は目をぎゅっと閉じたが、伸ばされた手が頭に乗りそのまま撫でられて臣は目を開けた 「よく頑張った。一瞬ヒヤっとしたが…もちなおしてよかった。ひとやま乗り越えれたな?あと少しだ」 穏やかな声で祖父江は臣を労い、頭を撫で続けた

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