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由宇 熱繰り返し

周防がステーションに走り戻るのを見て驚いた真尾が立ち上がった。 「周防、何事?」 「ゆ、由宇くん、熱いんすわ!」 「バイタルは?」 「え…いや、道具を取りに」 「リカバリーにあるでしょ!慌てませんよ。冷静に」 「え…知らんかった」 「また落ち着いたら病棟の中ちゃんと見といてね?何かあったら対応できないよね?」 「うーすんません」 「説教はここまでにする。一緒に様子を見に行こうか」 怒りの表情から優しい表情に戻り真尾は周防とともにリカバリールームに入った 「由宇くんごめんやで」 血圧計をベッドサイドに置き、聴診器を耳につけると周防は由宇の手を取った 「血圧やだ」 「せやからごめんて。臣くん寝とるから静かに。熱も一緒に測るな」 「ぅ…っ…。い」 「血圧…夕べ高血圧だったはずやんな」 周防は振り返って真尾に助けを求めるような視線を送ったところで体温計の音が響き 「何度?」 「もらうな、由宇くん。8度3…やっぱりまあまあ高いやん」 「肺音は?」 真尾は由宇の脈を取り、呼吸の確認をし 「肺?それより血圧が…」 「いま脈はしっかり触れるから60はあるし意識もしっかりしてる。けど、脈も呼吸もたきってるよ。なにより夕べこの子は嘔吐してる」 「え…まさか誤嚥?でもまだ肺炎になるなんて早くないです?」 「レントゲンにはもう映るころだよ」 真尾は聴診器を奪い由宇の胸へと押しあてた 「!」 「びっくりしたかな?ごめんね。吸って吐いてー繰り返すよ…。ん…、周防ここ聞いてごらん」 「あ、はい」 「いーい?まだ経験が浅いんだから知らないことが多いのは当たり前。他科と違ってゆっくりは教えてあげれるから少しずつでいいからいろいろ吸収して?まずはその音覚えて。それが肺雑音だから。先生連絡しようか。たぶんレントゲン直行だから準備して。帰ってからモニターも再装着になるからそれも」 「は、はい」 師長の肩書きは伊達じゃないんや あないな看護師になれるやろうか? しかし 由宇くん…いろいろ起こりすぎやないか? こないに体調悪くなる子もおーへんやろな かわいそうに、、

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