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リカバリールームでの夜
「…ぅ…っ」
ちょうど由宇が食事を始めたころ、臣は痛みで目を覚まし浅く息をした。
うっすら目を開けると、由宇が抵抗しながら食事をさせられていた
「はい。あーん」
「やー奈南 さん自分でやらせて」
「ダメ、肺炎になりかけてるから介助させてもらう。後で歯磨きもしようね?それからお下も寝る前に洗わなきゃなんだよね」
「え…まさかそれもやられるの?」
「当然。歯磨きは無理なら明日周防がやる。でもお下は後で絶対」
「意味不明、、」
「…っい」
臣の声に反応し、奈南看護師は臣に近寄り
「痛む?」
臣は頷いた。
「お尻注射しようか?指示出てるよ」
ふるふると首を振り臣は拒否をしめした
「飲めないし、挿れれないんだよ?だから筋注なんだけどやだ?」
「うん…我慢できると」
「んー…注射痛いけど楽になるよ?てか、今夜寝れる?」
「大丈夫」
「嫌がってんじゃん、やめてあげてよ」
「嫌がってるからってやめれるものとやめれないものがあるんだよ。祖父江先生、消灯前に来るらしいからそれまでに心決めて?」
「臣…打ってもらいなよ。俺、あの人嫌いだけど注射うまいと思うし」
「せからしか!」
「え?」
「あー…うるさいって方言だね。困っちゃうな」
奈南は由宇の元に戻り、由宇の前にスプーンを再び差し出した
「はい、食べる。栄養つけて。免疫落ちてんのかきみいろいろありすぎだから」
「うるひゃい…もぐもぐ」
「食べながら話さない。脅すわけじゃないけど本格的に肺炎になったら由宇くん、きみも筋注するんだよ?」
「え…どこに?」
「お尻」
「あな?」
「そこは肛門。お尻のほっぺ、腰に近いとこ」
「痛い?」
「そりゃ筋肉に打つんだから痛いよ」
「やだ…」
「じゃあいい子にする。ほらあーん。ゆっくりよく噛んで早食いはダメだからね」
「分かった」
由宇はおとなしく口を開け、素直に食事の介助を受けた
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