222 / 1150

レントゲン

「え…」 技師は連れてこられた子がシーツに巻かれていて驚いた。 「えーと…お願いします。ちなみにこの子暴れる感じ?」 「なんて言うかちょっと混乱強くてね。お願いします」 「まいったなぁ。撮影介助なしでいけるか?」 「俺、プロテクターつけて側ついてますわ。由宇くんひとりぼっちにすんの一瞬とは言え心配やしな」 「じゃ、頼むとして…由宇くん、お名前教えて。あとお誕生日」 「佐久間…由宇。10月10日」 「じゃあこっちの台に」 「また飛ぶの!?」 「あーあかんわ、これ。なぁ技師さん?悪いねんけどストレッチャーでいけれます?」 「分っかりました…。暴れられると危ないんでストレッチャーでやってみます。それじゃ佐久間さん背中に硬い板入って寝心地悪くなるけど辛抱してね」 プロテクターを付けた周防が由宇を抱き起こすと技師は四角い板を敷き、周防はその上に由宇を乗せた 「す、周防さん」 「心配せんでえーよ?レントゲンやったことあるやろ?」 「うん」 「じゃあ撮影はいりまーす。師長さんは裏入って」 「周防、頼むね」 「了解ー。由宇くん一瞬やからがんばろーな」 「分かった」 〝はい吸ってー止めます〝 ピーピピ 「はい、確認しまーす」 「由宇くん背中の取るで?」 技師は板を持ち裏へと戻った 出てきた画像を見て真尾は目を見開き 「ん……ビンゴ。まだはっきりじゃないけど肺炎像あるね」 「読影できるんで?」 「いやいや読影ってそこまでは…特徴的なやつだけね」 「さすが最年少師長っすね。右下葉(みぎかよう)にたしかにうっすら見えます。とりあえず無事終わってよかった。少年棟さん今日バタついてますね」 「そうなんだよね、参ります。じゃあ、また」 「はいおつかれさまです。フィルムお願いします」 刷りあがったレントゲンを手に由宇の元に戻るとレントゲンの袋を真尾は由宇の横に置いた。 「はい、お疲れさま。帰ろう」 3人は病棟へと戻った。

ともだちにシェアしよう!