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動脈血ガス分析
「ちょ…っ、周防」
「謝らんで!血ガス採るなら採るでなんで言わんねん!」
「怒るだろう」
「怒るわ!押さえる身になってやっ」
「分かった。変わろう」
「アホ抜かせ!それは医師がやる検査や」
「じゃあ押さえれるね?」
「うー…分かりました。はぁ…手首固定言うとったけど足の付け根やなくていいんです?由宇くん失神するかもやけど」
「んー…大腿のがたしかに血管を探しやすいが…橈骨 で行くよ。止血が橈骨のほうが容易だから」
「やれるんです?」
「あまり自信はないな…」
「さいでっか…ほんなら。裏からこのまんま抱っこしてますわ」
周防は由宇の点滴のついていない方の肘をとり腕を絡ませて先ほどよりもきつく固定すると由宇の手首の内側を曝け出させた
「え…な、何」
周防の真剣さに由宇はおののいた。
「震えんくて大丈夫やって。俺にもたれてリラックスしとったらええ。抱っこしとったるから怖ないで?」
「由宇、消毒しよう」
「は?」
手首を脈を確かるように触られた後、その部分を消毒され、由宇は青ざめた
「う…嘘でしょ?」
「やるよ」
「はい」
「ぎゃ…ぁあーっ!何、なんで!どこ刺してんだよー」
「由宇動くなっっ!!」
「っひぃっ」
いつも穏やかな瀬谷の激しい口調に由宇は息を飲んだ。
「由宇、針はいま動脈に刺さってる。危ないから。理解できるかい?」
コクコクと由宇は引き攣った顔をしながら頷いた。
「由宇くんええ?もう少ししたら終わりやねんけど、動脈やから血が止まりにくいねんな?せやから長いこと止血せなあかん。もうちょい辛抱やで?」
「痛い?」
「どうやろな?俺は分からへん」
「抜くよ」
針が抜けると、ガーゼで刺入部が圧迫止血された。
「よし…よく頑張った。周防このまま俺が戻るまで止血を頼めるかい?俺は中央検査部にいってくるよ」
「はい」
由宇は血液培養とこれとで手の両面を刺されたショックで呆然としていた
「…」
「由宇くん?大丈夫?」
「こわい…こわいよ、周防さん」
「でもな、ほんとはあんよの付け根やったんやで?先生手で頑張ってくれたから」
「足…付け根…っひく…うぇ」
「え?ちょ?なんでますます泣くん」
周防はよしよしと由宇の頭を撫で顔をのぞきこんだ。
足に注射したらこの子、どうなるんやろ?
てか、手の時点で呼吸が荒なっとる…
「興奮したらあかん。血ぃ止まらんし、呼吸苦しなるで?」
「助けて」
「由宇くん…」
周防はあやすことしかできず、歯痒さに唇を噛んだ
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