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由宇 嬉し泣
見えた瀬谷の姿に由宇は、ようやく泣きやんだところなのにまた目を潤ませた
「…うぅ」
やば…先生見ただけで泣けるとか、、
見られたくない
さっと顔を背け、由宇は顔を隠した。
そっぽを向いた由宇を見て瀬谷は、先に臣の診察をすることにし、臣の前に立ち
「由宇、臣、2人ともおはよう。臣はあれからぐっすり寝れたかい?」
「寝たとよ」
瀬谷は臣から出ているチューブの袋を確認し、臣の表情をうかがった。
「排液は…まあまあだな。もう少し減るといいが…痛いところは?」
「大丈夫やけん。由宇のとこ行って欲しか」
「由宇?もちろん後で行くが…いまは臣の診察…」
「よか!」
「注射はしないよ?」
「そうじゃなか!由宇のとこ先に行ってほしかってこと」
「臣は由宇が心配なんだな。分かった。行ってくるよ。また後でなら診察させてくれるかい?」
「うん」
「よし、いい子だね」
瀬谷は臣から由宇の元へと移動すると、由宇の顔をのぞきこんだ
「由宇、もっとよく顔を見せてくれるかな?」
「見せない」
「おやおや?ご機嫌ななめかい?」
「違う…違うけど」
「夕べ、よく頑張ったな。祖父江から聞いたよ」
「え…」
「苦しかったろう?今も…だな?」
「…うん…」
「怖かったな」
「うん…先生…っ俺」
だんだんと感情が込み上げてきて、由宇は瀬谷と目を合わせた。
瀬谷の優しい顔を見て、由宇は堪えきれず頬を濡らした。
瀬谷は微笑み、由宇の頭を撫でた
「熱いな…辛いか?」
「うん…でも、、」
嬉しい…
「でも?」
「なんでも…ない。先生、ぎゅってしてくれる?」
「いいよ、ほら」
瀬谷は由宇の望みどおり抱きしめた。
良かったね、由宇
臣は思ったー
しかし、複雑な気分だった
なんだかくやしい…
先生が見に来てくれただけで嬉し泣きしとるばい
すがる由宇が…涙を浮かべる由宇がかわいい…ばってん…この気持ちはなんやろか?
由宇のかわいらしさが自分に向けられたものでは無いことが臣はくやしかった。
〝嫉妬〝というものを臣ははじめて感じた
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