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笑顔がみたい
「そうか…そんなことが、、」
「祖父江先生には主治医だしまた報告はしますけど、本人必死でガマンして隠しているんで他の看護師には内緒で、ここだけの話でお願いします」
「分かったよ」
「あの…」
「ん?」
「彼らのために何かできることはないでしょうか?」
「できることか…なかなかな。患者自体は8人と少ないがやることは山積みだ。医師2人に看護師8人のうちでは…夜勤もあるしそれぞれ休息もとらないとならない。通常業務をこなすのでいっぱいいっぱいだ」
「人員拡充の予定は?」
「当分ないな。何せまだ新設だ。合わせて10人所属させてくれているだけでも恩の字だから、強くは依頼できん。功績を残せば人事も動くんだろうが…」
「あの…提案なんですけど、中庭って出してあげられませんか?」
「中庭?」
「はい。僕は彼らの笑顔がみたいです。本当の笑顔は引き出せないでしょうけど、わずかでも安らいでもらえればと思うんです」
「分かった。バイタルに問題無い子は出してあげてくれるかい?」
「ありがとうございます」
ステーションに帰ると真尾は、看護師たちを呼んだ
「少し早いですが申し送りまーす」
「………最後に。臣くんと由宇くんはまた後日になってしまうけど、彼らを中庭に出してあげられることが決まりました」
「え?何すん?」
「何…ってわけじゃ無いけど閉ざされた空間にいるより、外に出てお日さまを浴びて風にあたる…ただそれだけで気分が変わると思うんだ」
「なるほど…名案やん。さすが師長!ほんならシャボン玉でもやりますか」
「シャボン玉…幼児じゃないからどうかな」
「臣くんはよろこびそうですけどね」
ひとりの看護師が口を挟んだ
「じゃあ、まずはやってみましょう」
「いつやるん?」
「午後3時ごろかな」
「俺、早めに夜勤来ますわ」
「周防、夜勤は長いんだから無理しないほうが…」
「いや、見てみたいですやん?やっぱり」
「分かった。前残業つけれないか聞いてあげる」
「ええですよ!師長。俺が来たいから来るだけなんやから」
「でも…」
「明日の夜勤、憂鬱やったけどちょっとやる気出ました!頑張ります」
「うちに使わないシャボン玉道具あるんで持ってきます」
「明けだけど仮眠して来ようかなぁ」
真尾は看護師たちのやる気に満ちた顔を見て、微笑みを浮かべた。
「じゃあ、みんな明日。よろしくお願いします。残務頑張りましょう」
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