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シャボン玉

「え?お庭に?みんなで??」 真白はきょとんとした顔をしながら首を傾げ、真尾にキラキラとした視線を向けた。 「そ。行く?」 「行くっ」 「歩いていいけど、ゆっくりね?手を繋いでいこうか?」 「大丈夫だよ?」 「ふらついた時にすぐ助けてあげられるから繋がせてほしいな」 「分かった」 真白は手を伸ばして真尾と手を繋ぎ中庭に向かった。 ・ ・ 「みんないい顔をしてる」 カシャ…カシャ… 写真を撮りながら祖父江は呟いた。 「だな?臣と由宇も早く出してあげたいな」 「ああ」 ベンチに座り瀬谷と祖父江は笑いあった。 「祖父江先生、休みなのにありがとうございます。瀬谷先生もお早くいらして」 真尾がベンチに近寄り2人に話しかけた 「ああ。せっかく聞いたからな?見たいじゃないか」 「その通り。由宇と臣をまだ連れてきてあげられないのが残念だが…また、会を開いてあげれるかい?」 「もちろんです!2人がリカバリーから出れたらまた開催させてもらいます」 「その日が楽しみだな」 「みんなシャボン玉飛ばすでー!おりゃあ」 口で吹くシャボン玉をみんながベンチに座って飛ばしている最中、周防がバズーカ型のシャボン玉を空いっぱいに打ちあげた。 真白はシャボン玉の吹き口をシャボン玉液の器の上に置くと、立ち上がり駆け出した シャボン玉とーんだ♩やねまでとーんだ 飛んでいくシャボン玉を見て真白は歌った。 歌いながらふわふわと浮かぶシャボン玉の中をくるくると回り、笑った そんな真白を祖父江は立ち上がりカメラのフィルター越しに追いかけた。 「…ふ」 「どうした?祖父江」 「あの唄…あんまり好きじゃないんだが、、真白のあのはしゃぎようを見ると少し好きになったよ」 「かわいい唄じゃないか?何が気にいらない?」 「諸説あるが…あれは幼子が死ぬ唄だからな…鎮魂歌というかなんというか……悲しい気分になる」 「大丈夫だよ、彼らは死なない。誰ひとり死なせないよ」 「だな。みんな元気に退院させるぞ」 医師2人は誓いあったー

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