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誕生会の計画
3日の朝、真尾は起きるなり収納から取り出したキーボードを触り始めた
「宵、何してる?」
「えと…キーボードを、、」
「突然どうした?」
「周防と牟呂、あの子たち軽音部経験者なんです。朝方メールが来て急に決まったんですけど臣くんと由宇くんの誕生日祝いをしようって。
周防がドラムで牟呂がボーカル、あと詩乃もギターやれるそうで…僕は20年ぶりなんで足を引っ張りそうですけどやれるだけやろうかと。今日がちょうど臣くんの誕生日で準備期間4日しか無いんでお粗末な出来かもですが…」
「ということは?12月もやるつもりか?」
「はい。まーちゃん退院までまだまだですよね?あの子、イブ産まれなんでクリスマス会も兼ねて盛大にやろうかと」
「誕生日を迎える前に退院予定の子がいるが…その子が可哀想では?」
「彼には退院おめでとう会を予定しています」
「計画立案がたいへんだな」
「業務は増えましたけど、やりがいはありますよ。何より彼らの笑顔が見られるから」
「そうだな。やれることがあれば協力する」
「カメラマン、お願いします。シャボン玉の写真素敵だったから。あ、でも…この間の僕の写真データはどこかに移してからにしてくださいね?ひょっとして見られたら僕、立ち直れません」
「分かった、約束する。後4日…ということは佐渡先生の研修終了日に合わせた感じか?」
「はい。由宇くんの誕生日は10日ですけど、受け持ちでしたし、彼もお祝いしたいんじゃないかと思って」
「佐渡先生も喜ぶよ。入院は悪いことばっかじゃないとみんなに分かってもらえるといいな」
真尾の弾くhappy birthdayを聴きながら、祖父江はコーヒーを手にした
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