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まーちゃん、お疲れ熱?

「ひ…っく…ぅ…う…っ痛いよ…痛い」 「ま、まーちゃん、キズ痛いなぁごめんなぁ。転ける前に気づいたれんくて」 周防がおろおろしていると 手袋を外し、祖父江は真白の体に触り 「周防、いいか?真白、おいで」 真白を持ち上げた。 「せ…んせ?」 「部屋に連れていってあげるから。よく頑張ったな。帰る前に周防、カロナールシロップ出してやって」 「はい」 周防はシロップ状の痛み止めを用意すると真白の口元に差し出した。 「まーちゃん、ちょっと甘いやつな。オレンジっぽい味する痛み止めやで?楽になる」 「お薬…」 「飲んだ方がいい」 「分かった」 真白は、素直に祖父江の言うことを聞いて口を開け周防に薬を飲まされた 「…ん…んく…甘い…?けど、変わった味」 「いい子だ。じゃあ行こう」 「うん」 「その光景、久々ですね。まーちゃんあの頃よりは背が伸びたから気をつけてくださいね」 片付けをしながら真尾は注意を促した。 「分かった。じゃあ、真白行こうか」 祖父江は真白を抱え、ゆっくりと病室方面へ歩いていった。 2人が消えると、周防はすぐさま師長に頭を下げた 「師長!すんませんっ」 「大丈夫。大事にはいたらなかったから。明日の朝、望月さんに電話できる?無理なら僕がするけど…」 「やり…ます。あの…ほんと、まーちゃん微熱出とったし、気を配らないかんかったんやけど油断しとったです」 「微熱?」 「あ、はい。7度3…」 「瀬谷先生知ってる?」 「あ、いや…」 真尾は祖父江に電話をかけた 「もう病室でちゃった?まーちゃん微熱あるって」 〝分かった。マルクのキズ、確認するよ〝 「師長?」 「ただの疲労からの熱だといいけど、穿刺してるでしょ?そこから細菌感染起こすこともあるから」 「…う。そうやないとええんですけど」 「幸い入院中だからすぐ対処できるよ。たぶんキズから…じゃなくてお疲れ熱だと思うけどね。はしゃいでたし」 「感染やったら…」 「そうしたらそん時考えればいい。なんだかんだで先生たち2人とも頼りになるよ?」 「でも…」 「あまり抱えこまないでね?夜勤明けたらストレス発散すること。師長命令です。運動とか声を出したりするのがおすすめだよ」 「…えと、はい分かりました」 「失敗してなんぼだよ?そのために僕ら先輩がいるんだからね?」 「師長…」 「そうしていずれきみも後輩ができて教える立場になるから。それまでは甘えなさい」 漢気あふれる真尾の態度に周防は感銘を受けた。 こんな人になれたらええな

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