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夜明け前の一仕事2
「…ぅ…注射いやっ」
空も明るみを見せたころ、
正気を取り戻した真白と周防はにらめっこしていた。
「いやでもやらなあかんの!」
「や!」
「俺かて、や!なの。じっとしとってくれたら早よ終わるし、1回で華麗に血ぃ採ったるわ」
「その1回がまーちゃん、やなの!」
「弱ったなぁ…どうしたら採らさせてくれるん?まーちゃん」
周防は策もなく対応に困り、頬を掻いた
あとこの一仕事で終わるのに山がでかすぎやで、ほんま
こんなハードな夜勤、お初やで…
マイペースでやれるんが夜勤の魅力やのに、今回はいろいろありすぎや
控えめにいって…疲れた
真白は周防の疲れきった表情を見ておずおずと手を差し出し
「す…周防さん…あのね、その」
「ん?」
「またシャボン玉やれる?」
「やれるで。他にもなんかやれへんか考えとるから楽しみにしとき」
「じゃ、採血頑張ってみる」
「えらいやん!痛ないように俺も頑張るでな」
周防は真白の気が変わらないうちにいつもより巻きで動き、手袋を付け
「んじゃ…血管見つけるでー」
ゴムチューブで腕を巻くと周防は血管を探し
「お、ここええんちゃう?まーちゃん触ってみ。ぷにぷにやろ?」
「ぷに?」
言われたとおりにやや膨らんだようにみえる血管を触ると真白は頷いた
「ぷにだ」
「そ。このぷにに針刺したら血ぃとれるでな?もう触ったらあかんで?」
「分かった」
「んじゃ消毒な」
「ん…」
真白は針を見ないように体をそらした
「あんまりそらさんでも…目は開けとり?感覚が研ぎ澄まされてまうから」
「ひぁんっっ!腕、チクってした…」
「手の先ピリピリせん?」
「だい…じょぶ」
「よし。血、採れてきとるからもうちょい辛抱な?」
思ったより平気なんかな?
もっと泣くかと思ったけど…
よかった
「OK。採れた!まーちゃん頑張ったなぁ。泣かんかったやん。周防さんびっくりやで」
針を抜き、絆創膏を貼り、トレーに道具がすべて置かれると真白がじわっと涙を浮かべ始めた
「ひ…く…ひく…」
「へ?なんで今頃泣くん?どうしたん?」
周防は真白を抱きよせ、背中を撫でた。
「痛かった…」
「せやな」
「頑張った」
「うん。えらかったで?」
「気持ちいい処置したい」
「なんでそうなるん」
「だってここんとこしてくんない」
「そりゃ、まーちゃんいま体調が良くないから」
「でも、まーちゃんしたいの!」
「弱ったなぁ。また先生に聞いてみよな?」
「うん」
ビビった…
みんな性の治療嫌がるのに、めっちゃやる気やん
まーちゃん
気持ちいいのは好きなんやな
おとこのこやなぁ、なんかかわいい
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