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血ガス再検

1時間が経つころ、真尾と奈南が助っ人を連れてリカバリールームに戻ってきた。 「先生、そろそろ…」 「17時になるか?」 「はい」 「よし臣くん、こっちにいいかな?」 助っ人が両手を広げて臣を手招くと 臣は少し迷いながらベッドから降り、その看護師と手を繋いでステーションへと向かった 「別にいてもよかったんじゃなか?」 「んー、ちょっと見た目がえぐい検査だからね。カーテンはかけるけど会話だけでも怖いと思うよ」 「由宇、泣いちゃう?」 「かもな。ペンレスで痛みは軽いだろうけど、怖がるだろうな」 「可哀想…」 「いや、でも本当に悪い結果だとまずいからさ」 「ぃやぁーーーっ離してー」 聞こえてきた由宇の叫び声に臣はビクッと肩を揺らした。 「よってたかってやめろー」 祖父江に左足の太腿、真尾に右足首と膝、奈南に両手を掴まれ由宇は恐怖と不快感に叫んだ 「あんまり鎮静効いてないですかね?ぼくちゃんと挿れましたけど」 「こんなにガチガチに押さえられると思わなかったんだろうね、たぶん」 「由宇、リラックス。暴れたら危ないからな。今朝、ペンレスなしで橈骨でやれたんだろ?あれより間違いなく痛くないから」 「怖いもんは怖い!!」 「由宇、必要な血液量は1.5mlくらいだからあっという間だ」 祖父江はシールを剥がすと、由宇の足の付け根を消毒をし、垂直に注射器を刺した 「っん゛ーっ痛い…」 嘘つき。痛いじゃん…手よりは痛くないけど、痛い! 「よし、採れた。針抜くから真尾受け取って」 「はい」 針が抜けたと同時にアルコール綿で止血を始めた祖父江だったが、由宇は両足を動かした 「も、やぁっ」 「あ、ちょっ!」 由宇の足はみるみるうちに血にまみれていき、祖父江は慌てて両手で由宇の足の付け根を押し 「由宇暴れるな!血がっ」 「やだぁやだぁって!」 「先生、コードブルーかけます!?」 「大丈夫だ。いったんお互いに落ち着こう。ステーションの看護師呼んで」 「はい」 慌てた様子の奈南に呼ばれて走っていく看護師の後を臣はつけた

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