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臣 過呼吸

「えーと…?夜勤ですけど、これは?」 「寝てる」 「いや、見ればわかるんですけどなんで由宇くんが先生の上でラッコ状態で寝ているんですか?」 「なんでだろうな。由宇が乗っかってきた」 「バイタル取りたいんですけど、いいっすかね?」 「ああ」 そっと由宇を起こさないように祖父江は体の上から由宇を下ろすと、ベッドから降り伸びをした 「布団になるなんて優しいんですね、先生。びっくりしました」 「あ?俺は元から優しいが?」 「えー怖いですけど」 「間違ったことをしなきゃ俺は怒らない」 「ところで先生、肺の音ってこんなもんでした?」 「ん?」 祖父江は手を出し、看護師はその手に聴診器を乗せた 「右下、弱いように感じるんですけど」 「だな。悪化の傾向にあるから仕方ない。このまま眠らせて安静にしておこう」 「眠らせて?」 「本人無自覚だから無理をしかねない。人工呼吸器の出番がくるのは避けたいからわざと眠らせたままにして回復を待つ」 「それって…」 「苦労かけるがよく看てあげてほしい。褥瘡に注意で」 「エアマットいりますかね?」 「皮膚が赤くなるなら考えよう」 「分かりました」 「せ、先生っ」 それまで黙って様子をうかがっていた臣が声をあげた 「由宇ってそんなに悪かと?ねぇ!なんで眠らせたままっ?!」 臣は興奮しながらベッドから降り、祖父江の前に寄り祖父江の服を掴んだ 「由宇。死んじゃうの!?」 「臣、落ち着きなさい。絶対それはないし、死なせない」 「助けて!助けてほしかよっっ。俺の治療は後回しにしてよか!早く由宇を治して…はぁ…はっ…なんね…息が…っ」 「ちょ…紙袋!ビニールでもいい袋を」 「え…過呼吸?分かりましたー」 看護師は救急カートに入っていた袋を祖父江に渡し、祖父江は臣の口元にあてがった

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