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臣 お眠
2時間ほど経ったころ、看護師がリカバリールームに入ると、ちょうど祖父江に脇を支えられトイレに歩かされている臣が見え、
しかも、いつの間にか臣の病衣が甚平タイプに変わっていてさらに驚きをみせ
「えっ!排泄誘導って…。着替えまでしてるし先生だめですよ」
「何が?よし、座ってやろうか?危ないから手すり持って」
「ん……や、眠い」
「ほらほらズボン下げるぞ。おむつ外したからちゃんとトイレでしないとな」
「うー…はい」
ちょこんとトイレに臣は座り、祖父江は臣が転がり落ちないように見守った。
「ちょ…先生!先生がそんなことしちゃ」
「なんでだめ?任せろと言ったはずだが?」
「で、でもーこんなの上にバレたら」
「真尾には伝えておく」
「もっと上!」
「悪いが、俺には俺の考えがある。瀬谷もおそらく同じだ」
「えと…頑固っすね」
「せんせ…でた」
「ん。よかったな戻ろうか」
「歩けない…」
「仕方ないな、、悪い。点滴引いてくれるか?」
「あ、はい」
「よっと」
祖父江は臣を抱き上げベッドに連れていくと横たわらせた。
「到着」
「ありが…むにゃむにゃ」
言いきる前に臣は再び眠りに落ちていった
「早いな」
「先生、子どもが本当に好きなんですね?」
「じゃなきゃ小児科医にはなっていない。縁あって少年棟に配属になったが小さな子たちとはまた違うやりがいがある」
「…。じゃああらためてお願いします。俺は真白くんとこ行きます」
「真白?何かあったか?」
「いえ。縫いキズが痛いのに薬飲まないってご機嫌ななめで」
「分かった。少しの間こっちを頼む」
祖父江は看護師にリカバリールームを任せ、真白の部屋へ向かった
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