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臣 まーちゃん2

「う…はぁ…ふ…病棟ってこげん遠かったやろうか?」 臣は立ち止まり、遠くを見た。荒い息をする臣の背を周防は撫で 「もともと弱っとるとこで寝たきり何日かしたら体力も筋力も落ちるんはしゃあないな」 「きつか…」 「帰る?」 「や。あきらめん言ったとやろ?ここまで来たけん行く…っ」 臣は息を切らしながら再び歩き出し、数分後真白の部屋へとやっとの思いでたどりついた 「着いた」 「すごいやん!歩ききったなぁ、臣くん」 「真白ちゃん」 「え?あ…おみくん?どうしたの?」 「真白ちゃんに会いに来たとよ」 「まーちゃんに?嬉しい。いらっしゃい」 臣は真白の顔を見ておどろきながら、椅子に座り 「わ…痛そう…」 「痛いよ。ドジっちゃったの。まーちゃんはじめて縫われた」 「縫った!?うそ」 「ほんまやで?」 周防は真白の言葉を肯定し、真白のガーゼを指差した 「小さいのに可哀想…痛かったとやろ?」 「うん。いっぱい泣いちゃった」 「頑張ったんやね。検査も頑張れた?」 「うん。あの時はありがとう。ちゃんとやれたよ」 「えらかねぇ。よしよししてもよか?」 「へへ。いいよ」 臣が手を伸ばし、真白の頭を撫でると真白はとろけた表情を浮かべ 「可愛いかぁ。ふにゃんってなっとーよ、周防さん。この間はじめてちょっと会話しただけやけん。しかもかくれんぼしとったでどんな子かよく分からんかったけど純粋そうないい子やね」 「この間?かくれんぼ?…あ、臣くん知らん言うとったのにもしかしてかくまっとたん?」 「あ…。バレちゃった。ごめんね、真白ちゃん」 「じこーです!」 「じこーって時効か?むずかしい言葉知っとんな、まーちゃん」 「天才ですから」 「ははっ愉快な子やねぇ真白ちゃん。もっと早く話しておけば良かったばい」 真白の部屋はあたたかな雰囲気に包まれていた

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