299 / 1150

大嫌いな黒か注射

「到着ー。ベッド移るで?よいしょするから手、俺の背中に回してな?」 「うん」 「ほいっと」 周防は臣をベッドに移すと車椅子をたたみ 「新しい点滴持ってくるで待っててや?」 「分かった」 ・ ・ 新しい点滴を用意していると、周防は奈南に呼ばれた 「周防、今日臣くんフェジンの日!忘れてないよね?」 「げ…」 「げって忘れてたの?」 「え…えーと…ちゃいます」 「じゃあ、早いとこ打っちゃいな」 「あー…いややな」 「嫌なのは臣くんだと思うよ?押さえた方がいいなら呼んで?」 「分かりました。鉄剤注射苦手なんだよな…2分以上かけて、、ってのがな…2分もじっとしてくれんちゅーの」 ぶつくさ言いながら周防は黒い液体をでかい注射器に詰め 「しかし…いつ見てもドン引きサイズ…よっしゃ、気合い入れて行くで」 意気込みリカバリールームへと戻った 「お待たせやで」 「おかえり…あ…」 「あ?」 「いやなもの持ってる…」 「分かっちゃった?とりあえず点滴交換な?」 話しながら周防は点滴を交換し、臣はその背中に向かって 「その黒か液体…いらんばい」 泣きそうな声で呟いた。 「ごめんな?必要なもんやから」 「うぅ…いや…」 「いややな?でも、血管見せてや?」 「え…点滴からやるんじゃなかね?」 「単品で打つよう指示出とんねん。せやから協力してな」 「や…だ」 周防は、臣の手を縛り血管を探した 「う…ちょ…あー…ごめん。ちょっとタンマ」 縛りを緩め、ステーションに戻ると周防は奈南にヘルプを求めた 「えと…先輩?ちょっとええ?」 「暴れる?」 「そうやなくて…あれ、あかんわ。俺には無理」 「あの子、足にいい血管あるよ」 「え…」 「え…じゃなく、夜勤で点滴漏れたらどうすんの?たぶんまだ点滴続くよ。いちいち先生呼ぶつもり?」 「う…」 「ついてくから、挑戦」 「先輩…鬼や」 しぶしぶ周防は奈南をつれてリカバリールームへ戻った。

ともだちにシェアしよう!