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よしよし

奈南が消えると臣は足元で止血する周防に飛びつくようにして抱きついた 「おっと!危なっ臣くんまだ止血中」 「ひく…うぇ…えーん」 「あー…えーと、よしよし。止血確認して絆創膏貼ったるで待っとってや?痛かったなぁ、ごめんな」 「う…ぅっ…えぐ…ありがと」 「ん?なんでありがとなん?」 「1回で採ってくれたけん」 「んー注射してお礼言われたんはじめてやからどう反応してええんか分からんけど…どういたしまして」 止血を確認し絆創膏を貼ると、臣の体勢を整え 「もうちょい上行こな?ほら、ぎゅ、したる」 周防はベッドの隅に座り臣の体を抱きしめた 「臣くん、俺のこと怖いんちゃうの?」 「もう大丈夫…周防さんいい人」 「注射終わって嬉しいんやな」 「うん。あのね…ひく…っ変わる変わる…いっぱい刺された時もあったとよ。痛くて…でも、やめてもらえんかったけん…」 「そりゃ辛かったな」 臣の頬に自分の頬を当て、周防は臣の頭を抱えるようにして抱きしめ 「ご褒美に頭、後で洗ったる」 「?」 「実家が理容室やったでバイトがてら洗髪しとって結構うまいんやで?」 「知らなかった…ぐすっ」 「わざわざ言うとらんで知らんやろな。落ち着いたら洗髪室行こか?」 「うん…っ」 臣は泣き顔のまま笑い、周防にしがみついた

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