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甘えん坊臣
「ただいまですー」
周防はステーションの面々に声をかけ、周防の姿を見た奈南が近寄り
「おかえり。臣くん、さっぱりした?」
「うんっ」
「ご機嫌よくなったね。周防、白湯100cc指示出てる」
「了解。ほなベッド戻って水分補給しよな?」
「朝の倍…?大丈夫と?」
「大丈夫やて。腸が驚かないようにゆっくり落とすで安心しぃ」
「分かった」
リカバリールームへ入ると
「由宇、ただいま。頭洗ってもらったとよ?バリ気持ちよかったけん。また由宇もやってもらえるとよかね?」
「熱が下がったらやったるで」
「由宇、うっとりしちゃうんじゃなか?」
「どうやろな?由宇くんが起きてからのお楽しみや。はい、ベッド戻りぃ」
周防に支えられベッドに移ると臣はふぅと一息ついた
「疲れたやろ?」
「うん」
「寝とってもえーよ?」
「んー…やぁ」
「寝ぇへんの?ベッド頭側高くするで?」
臣はうとうとしながらも眠らないように顔を振り
「やぁの」
「なんやねん?なんで駄々っ子になってん?」
周防は臣の髪に触れ、首を傾げ
「よしよしは?」
「甘えとん?ええよ。ほれよしよし。臣くんはええ子」
あかんやろ…
この子、可愛すぎか?
いままであないにつんけんしとったのに
この手のひら返し!
そりゃ、祖父江先生も可愛がるっちゅうの
「周防さん…ごめんねぇ」
「なん?」
「俺、周防さん怖くていままでいろいろひどかこと言ったとよ?」
「気にしてへんで大丈夫やで?白湯、用意するでちょい待っとってな?」
ボトルに白湯を入れ周防は、臣のチューブに接続し
「ゆーっくり落とすで、なんかあったらコール押すんやで?」
ゆっくりと滴下をはじめた。
「行っちゃう?」
「せやね。記録したりせなあかんし。そろそろ由宇くんのお世話もしたらなな?」
「分かった」
「…そんな、切ない顔せんでもまた来るで?明日も出勤やし」
「約束」
「約束」
グーパンチを出した周防を見て臣は見よう見まねでグーを出し、周防は臣のグーにトンと当てた
2人で顔を見合わせて笑い、周防は再度臣を撫でた
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