305 / 1208

臣のお悩み相談室

なんやろ… さっきまでいい気分やったのに、沈むわ 浮かない表情のまま周防は由宇のケアをしにきた。 「由宇くん、お下洗いに来たで?終わったらご飯流しはじめような」 「周防さん…?」 「臣くんごめんな?構ったりたいけど、由宇くんのケアせなあかんねん」 「そうじゃなか…。甘えていい時かそうじゃない時かくらいは分かっとーよ。なんかあったとね?どよーんとした顔してるばい」 「う…。ほんまよう見てんね?自分」 「聞くしかできんけど、話してみんね?」 「え…いやいやそんな、、話せんて。気持ちだけもらっとくでな?おおきに」 周防はカーテンを閉め、由宇のお下の洗浄を始めた 「由宇くん、綺麗しよな?お湯かけるでぇ」 声だけは弾ませながら周防はケアを進め 「おーしまい。綺麗なって気持ちえーな?次、ご飯の支度するで待っとりぃ」 カーテンを開け、臣と目が会うと周防はにぃっと笑った 「臣くんも早よごはん流せれたらええな?」 「周防さん、なんでそげん辛か顔ばしとっと?」 「え…」 「由宇のご飯終わったらでよか。こっち来てお話せんね!」 「んーと…気持ちだけって」 「ばかちんっ」 「ばか…って」 「辛か気持ちは誰かに打ち明けると心が軽くなるとよ?辛いは0にはできんけど50くらいにはなると思うたい」 「臣…くん。おおきに…ええ子やね?」 周防は由宇の経管栄養をスタートし、臣のベッドの端に立った。 臣はベッドの空いたスペースを叩き 「ここ、座らんね!」 「あ、うん」 「聞かせて?」 「っても…どう話したらええんかな?」 「先輩にいじめられた?何か失敗した?私生活?」 「えーと…」 「ゆっくりでいいけん教えて」 「なんやお悩み相談室みたいやな」 「だよ。よく、学生さんのお話聞いたもんたい。奈南さんとお話したこともあるとよ」 「え?どんな?」 「それは守秘義務とよ?周防さんのお話ももちろん内緒」 「そっか。んーとさ、仕事も私生活も充実してんねん。でもな、ここんとこ出勤すんのが辛い」 「え?」 「毎日誰かしらが急変しとったり、怖い処置しとるやろ?もしも…を考えると怖いねん」 「心配?」 「せやな?夜勤もしんどーてな。ビクビクやわ」 「みんなそうなんじゃなか?」 「いや、すっと体がみんなは動くけど、俺は動かれへんねん」 「周防さん」 臣は周防の顔をじっと見て、次の言葉をつむぐため口を開いた。

ともだちにシェアしよう!