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輸血前採血(クロスマッチ)
「真尾師長、まーちゃんのクロスマッチなんですけど…」
「うん、いけますか?手がいる?」
「じゃなく、まーちゃん祖父江先生がいいそうで」
真尾は書いていたペンを置き
「えー…あの人、いま外来診察だよ?」
「ですよねぇ。どうしましょう?」
「どうもこうもやるんだよ、僕が一緒に行きますから」
椅子から降り、真尾は牟呂の肘を引っ張り処置室に連行し
「うー…」
「うなられてもね…はい、準備」
「分かりました」
牟呂はいやいやながら準備をはじめ
「本当はこっちに連れていきたいんだけど、この間の時はセミになっちゃってたから病室に行きましょう」
「セミ?」
「セミ」
「どういう?」
「扉にへばりついて離れなくてね、ずっといやぁって叫んでたからセミみたいだったらしいよ」
「なるほど」
「OK。行こうか」
道具を持って真白の元へ行くと、笑い声が聞こえた。
「え?」
牟呂と真尾は顔を見合わせて中をのぞきこむと、椅子に座る周防と真白の横にもぐりこんでいる臣が見え
「せやからな、しー先輩と神社に行ってん。が、病気治してくれる神さんやのうて縁結びの神さんやったの。どおりでおねーちゃんたちが俺ら見てきゃーきゃー言いよるわけやって思て
な」
「あははっでもおかげで仲良くなれたね?真白ちゃん」
「うん」
カタンー
「ん?あ、宵ちゃんとしーちゃん!」
「臣くんと周防はなんでここに…?」
目を点にし真尾は尋ね
「いやぁ、おうかがいたてるつもりやったんやけど聞く前に実行してもうた」
「マイペースだね…君。まあそれが君の長所でもあるわけだけど」
「まあまあ師長さん。雅宗も多分思うところあるんだと思いますよ。ところで何?あの神社縁結びだったの?」
「あーいや…なんかご利益?あんま感じられへんなぁ思て調べたらそうインタネットに書いてあってん」
「普通先に調べない?」
「ご利益あったとやねぇ、周防さんとしーちゃん仲良しやけん。ねぇ真白ちゃんもそう思わん?」
「思う!」
「えーと…まあいいや。まーちゃん、牟呂に朝聞いたと思うけど輸血前の検査の採血ね」
「う…はい」
みんなに見守られながら真白は腕を差し出した
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