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いざ 輸血
「クロスマッチ完了です。輸血バック2単位検査部とのダブルチェックは済んでます。師長確認いいです?」
「おかえり。うん準備しようか?」
「望月真白くん12歳12月24日産まれO型Rh+。ロット番号OK」
牟呂と真尾が輸血の準備をしていると、祖父江が姿を現した
「検査部、看護部でのダブルチェックできてる。先生もチェックを」
「OK」
入念なチェックを終えると祖父江は口を開いた
「真白のバイタルは?」
「問題なしです」
「じゃあ行くか」
祖父江を先頭に牟呂、真尾が真白の部屋へやってくると午前中とは打ってかわって緊張で表情をかたくしている真白が震えていた
「んー…どうします?祖父江先生」
「真尾はどう思う?」
「乗る」
「任せた」
「え?え?」
2人の会話の意味が分からない牟呂がおたおたしていると真尾が
「牟呂はまーちゃんの右手しっかり握って、気をそらせるような会話してて」
「ちょ…よく分かんないだけど、とりあえずまーちゃん手を繋ごうか?」
「しーちゃん…どうしよう、まーちゃん怖くなってきた」
「はじめてだもんね」
「うん」
真白と牟呂の会話中に真尾は靴を脱ぎ
「まーちゃん?ちょっと重いけどごめんね?」
「え?やだ…師長さん」
真白の足に座り下半身を拘束した
「師長…そこまでしなくても、、」
「念の為だよ。大丈夫、僕軽い方だから」
「怖いよ〜」
「余計怖がらせてないですか?」
「しーちゃんそうじゃないの」
「まーちゃんそうじゃないって?」
「まーちゃんの中に他人が入るのが怖いー」
「それってどう言う…」
「だってなんか気持ち悪いよ知らない人が入ってくるんだよ」
「えー…でも先生の指でナカ触ってもらうの好きでしょ?」
「うん好き」
「入ってくることには変わりないんじゃ?」
「先生は知らない人じゃないもん」
「変わった理屈だね」
祖父江は真白と牟呂が話しているうちに穿刺の支度をし、真尾に目配せをして真白の前腕に針を刺した
「ひぃっ!なんか痛いよっこんなに痛いとか聞いてない」
「動くな…血管が逃げる。…く、しくった」
失敗した針をトレーに置き絆創膏を貼ると祖父江は次の血管を探した
「仕方ない…手の甲でいくか」
祖父江は眉間に皺を寄せ、真白の手首のあたりにゴムチューブを巻いた
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